「イタリア高級ワインのABC」と聞いたことはありますか?
「ABC」はそれぞれ銘柄の頭文字を取ったもので、イタリアの有名な高級ワイン銘柄を称賛した言葉です。
Bはバローロを指し、Cはキャンティ・クラシッコを、そしてAはアマローネを指しています。
今回紹介するアマローネは、この有名3銘柄のうちの1つとして挙げられています。
一体どんなワインなのでしょうか?
【目次】
では、上記目次に沿ってアマローネを説明します。
アマローネ(Amarone)とはどんなワイン?
アマローネとは、イタリアのヴェネト州のヴェローナ近郊のヴァルポリチェッラで造られる高級赤ワインのことです。
数少ない生産者によって造られていて希少性が高く、かつては王侯貴族のみが口にできるワインでした。
希少性が高いのは生産者が少ないことだけが理由ではなく、その製造方法にも影響を受けています。
アマローネを製造する際には陰干し(アパッシメント)したブドウを使います。
陰干しによって水分を蒸発させるので、ワイン造りに使われるブドウ果汁の量が極端に少なくなってしまいます。
そのため、生産できるワインの量が少なくなりやすいのです。
ただし、水分が蒸発して濃縮したブドウからは、生まれるワインは非常に濃厚、まるでチョコレートを思わせるような苦味や焦げたような独特な苦味が特徴です。
豊かな苦味が特徴となるアマローネ。
このアマローネというイタリア語を日本語にすると「苦味」を表し、「アマーロ」で「苦い」を表します。
凝縮された旨味と独特な苦味を持つアマローネは、ジビエ料理やキノコ料理との相性が良いのが特徴です。
イタリアにはワインの品質を4段階に格付けしたものがあるのですが、アマローネはそのうちの最高位D.O.C.G.に認定されています。
長らくその1つ下のD.O.C.認定のワインでしたが2010年になってようやくD.O.C.G.に昇格されました。
アマローネの製造方法
先にも簡単にお伝えした通り、アマローネは陰干し(アパッシメント)したブドウを使って造られます。
ヴェローナ周辺が土着となっているコルヴィーナ、ロンディネッラ、コルヴィノーネというブドウ品種が10月頃に熟成します。
完熟したワインを1つひとつ手摘みで収穫し、それを今度は3~4ヶ月に渡ってアパッシメントといって陰干ししていきます。
陰干しによって水分が蒸発していき、ブドウに含まれる糖分やポリフェノールなどが凝縮されて旨味の詰まった状態となります。
アパッシメントを行う際には、風通しの良いアパッシメント専用の部屋を使います。
カビが発生しないように毎日チェックし、乾燥の仕方も均一になるよう、気温や湿度にも細心の注意を払いながら陰干しを進めていきます。
そうしてできたブドウは枝についたレーズンのような見た目になっており、陰干し前と比べて半分くらいの量にまで減ってしまいます。
原料となるブドウの量が減ってしまうので、当然ワインの生産量は減ってしまいます。
これだけでも手間暇がかかり、かつ生産コストのかかる醸造方法ということが分かりますね。
こだわりの醸造方法はこれだけではありません。
樽に詰められたアマローネを最低2年以上熟成させ、瓶詰めした後さらに6ヶ月以上熟成させるとようやく出荷ができる状態となります。
これだけこだわった醸造方法だからこそ、イタリアにおける最高品質を表すD.O.C.G.として認定されているのでしょう。
陰干し(アパッシメント)によって生産量が少なくなり、アマローネは希少で高品質なワインと位置付けられます。
リパッソ(Ripasso)とは
リパッソ(Ripasso)とは、ヴェネト州の伝統的な醸造方法、あるいはその伝統的な醸造方法で造られたワインの銘柄のことです。
アマローネを造る際には、陰干しをしてレーズン状態になったブドウから絞って果汁を取り出していきますが、リパッソの醸造では、このときの搾りかすを使います。
リパッソとは再びアルコールの発酵を起こすという意味で、アルコール発酵が終わったヴァルポリチェッラに、アマローネの搾りかすを入れると再びアルコール発酵が始まります。
ヴァルポリチェッラのフレッシュな酸味と果実味に、アマローネのような華やかで複雑な味わいと香りが加わります。
当然アマローネよりも安価なので、安くアマローネの雰囲気を楽しみたいのであれば、リパッソを試してみてください。
リパッソという醸造方法で造られたワインには、ヴァルポリチェッラというワインのラベルにリパッソと書かれていますので、ラベルを良く確かめてからお買い求めください。
ちなみにアマローネの価格としては5,000円~1万円くらいですが、このリパッソの価格は1,500~3,500円ほどです。
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押さえておきたいアマローネのワイナリー
アマローネを知るうえで押さえておきたい3つのワイナリーをご紹介します。
では順に説明します。
アレグリーニ
イタリアの有名なワイン評価誌ガンベロ・ロッソで「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したアレグリーニ。
16世紀初頭からワイン造りを始め、世界最高峰のワイン「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ」を生産する家族経営の名門ワイナリーです。
ベルターニ
ワイナリーの創業は1857年と、アレグリーニと比べると歴史はまだ浅いものの、名高いワイナリーです。
こちらも世界最高峰と呼び声高い「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ」を生産しています。
4ヶ月以上の陰干し(アパッシメント)と7年以上の熟成といったように時間をかけて凝縮された旨味を演出しています。
マァジ
1772年創業の老舗ワイナリー。
マァジは伝統的な醸造を大切にし、リパッソを生産しています。
伝統的な醸造を大切にしながらも研究を重ね、醸造技術をブラッシュアップさせています。
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まとめ
アマローネはイタリア最高峰を意味するD.O.C.G.に認定されたワインです。
イタリアのワインを知るうえでは欠かせない存在と言えるでしょう。
ぜひ一度口にしてみてはいかがでしょうか。