イタリアワインの格付け等級の1つである「D.O.C.G.」。
4段階ある格付けのうち、最上位の等級です。
2009年にはイタリアのワイン法が改正されて等級の名称が新しくなり、D.O.C.G.と1つ下の等級であるD.O.C.をまとめて「D.O.P.」となりました。
ただし、ワインのラベルには旧名称のD.O.C.G.やD.O.C.と表記しても、新名称のD.O.P.としても良いとされています。
決して等級だけがすべてではありませんが、ワインを最大限に楽しむためにも格付け等級についても学んでいきましょう。
【目次】
VdT(VINO)にも優良ワインが数多く隠れている?スーパー・トスカーナとは?
では、上記目次に沿って、イタリアワインの格付けについて説明します。
D.O.C.G.とは
D.O.C.G.とは、デノミナツィオーネ・ディ・オリジネ・コントロッラータ・エ・ガランティータ(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)の略で、イタリアワインの格付けにおいて最上位の等級のことです。
イタリアでもフランス同様に4段階のワインの格付けがあり、ピラミッド型のようになっており、最上位に認定されているワインが少なく、下の等級になるにつれて認定されているワインが多くなっています。
その格付けで最上位に位置する高品質なワインがD.O.C.G.ワインです。
D.O.C.G.に認定されているのは2019年8月時点でD.O.C.G.は76銘柄となっています。
イタリアワインの格付け・原産地統制呼称システムとは?
原産地統制呼称システムは、簡単に言うとワインの格付けのことです。
先ほど4段階に分かれているとお伝えしましたが、
最高位から順に、
- D.O.C.G.(デノミナツィオーネ・ディ・オリジネ・コントロッラータ・エ・ガランティータ / Denominazione di Origine Controllata e Garantita)
- D.O.C.(デノミナツィオーネ・ディ・オリジネ・コントロッラータ / Denominazione di Origine Controllata)
- I.G.T.(ヴィーノ・ダ・ターヴォラ・インディカツィオーネ・ジェオグラフィカ・ティピカ / Vino a Indicazione Geografica Protetta)
- VdT(ヴィーノ・ダ・ターヴォラ / Vino da Tavola)
です。
イタリアワイン格付けの新しい分類名
イタリアワイン格付けの等級の名前は、2009年に改められます。
EUのワイン格付けの等級に合わせて、4段階の分類から3段階へと変更されました。
その際にD.O.C.G.とD.O.C.が「D.O.P.」としてまとめられます。
その他の2等級も名称が変わり、これまでのI.G.T.は「I.G.P.」に、VdTは「VINO」となりました。
ただし、改正後に必ずしもD.O.P.と表記する必要はなく、従来通りD.O.C.G.やD.O.C.と表記しても問題ありません。
当然D.O.C.G.に認定されている銘柄の生産者としてはD.O.C.と同列に扱われるのは嬉しいことではないため、D.O.C.G.と表記するワインも数多くあります。
<イタリアワイン格付けの新名称>
- 保護原産地呼称ワイン(D.O.P.)
- 保護地理表示ワイン(I.G.P.)
- 地理表示なし(VINO)
EUで造られるワインの格付け
イタリアやフランスでも原産地名称保護制度、つまりワインの格付けはありますが、EUにもワインの格付けがあります。
<EUのワイン格付けの名称>
- 保護原産地呼称ワイン(A.O.P.)
- 保護地理表示ワイン(I.G.P.)
- 地理表示なし(V.S.I.G.)
A.O.P.は、イタリアワインの格付けにおいてD.O.P.(D.O.C.G.とD.O.C.)と同列となっており、I.G.P.はI.G.P.(I.G.T.)に、V.S.I.G.はVINOに当たる等級です。
イタリアワイン格付けの歴史
イタリアが原産地統制呼称のシステムを導入したのは1963年。
まずはD.O.C.が導入され、その後D.O.C.より上の等級としてD.O.C.G.というカテゴリが設けられています。
1991年にはI.G.T.というEUのワイン格付けI.G.P.に当たるカテゴリも新設されました。
2012年にEUのワイン法改正に伴って等級の昇格審査を厳格化されることを受け、これまではD.O.C.の優良銘柄が年に数銘柄ずつD.O.C.G.に昇格していたのですが、駆け込み申請をし、昇格となったD.O.C.G.銘柄が多数出現しました。
VdT(VINO)にも優良ワインが数多く隠れている?スーパー・トスカーナとは?
格付け等級の高いブランドワインが価格も高くなる傾向にありますので、基本的には格付け最上位のD.O.C.G.ワインが最も高級で、I.G.T.やVINOが比較的安価なワインです。
ただし、イタリアワインの場合には特に例外が多数あり、I.G.T.やVINOの中でも高品質で高価なワインも数多くあります。
このような、等級としては低いものの高級で高価なワインを世間的にスーパーI.G.T.などと呼ばれ、トスカーナ州のワインに多いことからトスカーナ州で造られた、いわゆるスーパーI.G.T.をスーパー・トスカーナなどとも呼んでいます。
なぜこうしたことが起きるのかと言うと、理由は原産地統制呼称法(ワインの格付け)の目的にあります。
イタリアの原産地統制呼称法は、イタリアのワイン文化、すなわち地域別の土着品種と伝統的な栽培・醸造法を守ることを第一の目的としています。
そのため、フランスから移植されたブドウ品種を使って造られたワインや、フランス風の醸造法が使われたワインは、どれだけ高品質であっても、D.O.P.(D.O.C.G.とD.O.C.)としては認定できないのです。
ただ、1960年代末から登場し始めたスーパーI.G.T.は、D.O.P.(D.O.C.G.とD.O.C.)の肩書きがなくても、品質が高ければワインが売れることを証明しました。
1990年代以降、イタリア政府はD.O.C.G.やD.O.C.の規制を緩めることで、スーパーI.G.T.の類いを原産地呼称ワインの枠組みの中に取り込もうとしています。
カベルネ・ソーヴィニョンなどフランス系外来品種も、現在では多くのD.O.C.や一部のD.O.C.G.ワインで使用できるようになっています。
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D.O.C.G.ワインの産地と銘柄 全76銘柄を徹底紹介!
以下の表で、D.O.C.G.ワイン全76銘柄を産地別に紹介します。
産地 | ワイン銘柄 |
---|---|
トスカーナ州 | ヴァル ディ コルニア ロッソ ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ ヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ エルバ アレアティコ パッシート カルミニャーノ キャンティ キャンティ クラシコ スヴェレート ブルネッロ ディ モンタルチーノ モレッリーノ ディ スカンサーノ モンテクッコ サンジョヴェーゼ |
ピエモンテ州 | アスティ アルタ ランガ エルバルーチェ ディ カルーソ ガッティナーラ ゲンメ コルテーゼ ディ ガヴィ ドリアーニ ドルチェット ディ オヴァーダ スペリオーレ ドルチェット ディ ディアーノ ダルバ バルバレスコ バルベーラ ダスティ バルベーラ デル モンフェッラート スペリオーレ バローロ ブラケット ダクイ ルケ ディ カスタニョーレ モンフェッラート ロエロ |
ヴェネト州 | アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ コッリ アソラーニ プロセッコ コッリ エウガネイ フィオール ダランチョ コッリ ディ コネリアーノ コネリアーノ ヴァルドッビアーデネ プロセッコ ソアーヴェ スペリオーレ バニョーリ フリウラーロ バルドリーノ スペリオーレ ピアーヴェ マラノッテ モンテッロ ロッソ リソン レチョート ディ ガンベッラーラ レチョート ディ ソアーヴェ レチョート デッラ ヴァルポリチェッラ |
フリウリ ヴェネツィア ジュリア州 | コッリ オリエンターリ デル フリウリ ピコリット ロサッツォ ラマンドロ リソン |
ロンバルディア州 | コッリ オリエンターリ デル フリウリ ピコリット スフォルツァート ディ ヴァルテッリーナ モスカート ディ スカンツォ ラマンドロ リソン ロサッツォ |
エミリアロマーニャ州 | コッリボロニェージ クラシコ ピニョレット ロマーニャ アルバーナ |
ウンブリア州 | トルジャーノ ロッソ リゼルヴァ モンテファルコ サグランティーノ |
マルケ州 | ヴェルディッキオ ディ マテリカ リゼルヴァ ヴェルナッチャ ディ セッラペトローナ オッフィーダ カステッリ ディ イエージ ヴェルディッキオ リゼルヴァ コーネロ |
ラツィオ州 | カンネッリーノ ディ フラスカーティ チェザネーゼ デル ピーリオ フラスカーティ スペリオーレ |
アブルッツォ州 | モンテプルチアーノ ダブルッツォ コッリーネ テラマーネ ツッルム |
カンパーニャ州 | アリアニコ デル タブルノ グレコ ディ トゥーフォ タウラージ フィアーノ ディ アヴェッリーノ |
プーリア州 | カステル デル モンテ ネーロ ディ トロイア リゼルヴァ カステル デル モンテ ボンビーノ ネーロ カステル デル モンテ ロッソ リゼルヴァ プリミティーヴォ ディ マンドゥリア ドルチェ ナトゥラーレ |
バジリカータ州 | アリアニコ デル ヴルトゥレ スペリオーレ |
シチリア州 | チェラスオーロ ディ ヴィットリア |
サルデーニャ州 | ヴェルメンティーノ ディ ガッルーラ |
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まとめ
ワインを楽しむなら知っておきたい格付け等級。
イタリアワインの場合には最上位から順に「D.O.C.G.」、「D.O.C.」、「I.G.T.」、「VdT」でしたね。
イタリアワインを選ぶ際の基準の1つとして参考にしてみてはいかがでしょうか。