よいワインツールは、ワインライフをさらに充実させるばかりでなく、ワインの楽しみ方をより楽チンにする。ワインバーのマダムとして仕入れからサービスまでを行う筆者が、気になるワイングッズにトライする本シリーズ。第2回目は、あの方が作られた”唯一無二のワイングラス”をとりあげる。
文・写真/谷 宏美
【目次】
1. ジャンシス・ロビンソンがグラスを作った理由
2. どんな製品なの?
3. グラスを4タイプのワインで検証
4. テイスティング実感
5. 結論
1. ジャンシス・ロビンソンがグラスを作った理由
ジャンシス・ロビンソン。ワインを生業にするならその名を知らぬ者はいない、英国のワイン評論家。緻密にして最新のワイン情報を常に発信し、ジャーナリストとして最初にマスター・オヴ・ワインの称号を得たことでも知られる、ワインジャーナリズム界のクイーンである。
そのジャンシス・ロビンソンが自身のワイングラスをプロデュースし、世界が注目。日本にも2年前に上陸し、プロモーションのためにジャンシスが来日。筆者もそのお披露目のセミナーに出かけてこのグラスをゲットした。がなんと、このグラスのよさを知る前に割れてしまい(不慮の事故。ワタシではナイ)(涙)、あまりにガッカリして以後このグラスのことを意識的に忘れていた。このたびシリーズでワイングッズレビュー記事を引き受けたのだがその中にこのグラスがあり、遅ればせながら、あらためて向き合うことにしたのである。
と自分の前置きはどうでもいいと思うので理由を書かねば。ジャンシスは40年以上に及ぶワインの現場の取材と執筆を通し、精魂を込めてワインを造る生産者たちが必ずしも自分たちのワインが注がれるグラスに満足していないことを知り、「最高のワイングラスとは?」と突き詰めるようになった。そんなタイミングでデザイナーのリチャード・ブレンドンと出会い、このグラスが誕生したというわけだ。