「白ワインといえばシャルドネ」とだけ記憶している方も多いでしょう。
しかし、シャルドネというのはブドウ品種の1つに過ぎず、白ワインに使われるブドウにはシャルドネ以外にもたくさんの品種があるのです。
ただし、その白ワインの品種や特徴をすべて知らなければならないかといえば、そういうわけでもなく……。
実は、ワインに使われるブドウ品種は5,000ほどあり、ワイン業界のプロでもそのすべてを把握している方はほとんどいないのです。
ですから、すべてを知る必要もありません。
そこで、ここではその代表的なものをいくつかご紹介しますので、そのブドウ品種、特徴を知り、ワインの楽しみを無理なく広げることに役立ててみてはいかがでしょうか。
【目次】
では、この目次に沿って説明します。
白ワインはブドウの果汁だけを使って造られる
白ワインを造るときに使うのはブドウの果汁のみ。果皮と種は、醸造工程の最初のタイミングで取り除かれます。
果汁だけを用いるために、白ワインは透明度の高い色になるのです。
また、白ワインを造るときに使われるのは主に白ブドウです。
ですが、黒ブドウでも果汁には色がついていないため、稀に黒ブドウと白ブドウを混ぜたものや黒ブドウだけで造られた白ワインもあります。
白ワインに使われるブドウ品種には何がある?
白ワインに使われるブドウ品種のうち代表的なものをご紹介します。
各ブドウ品種名につけたリンク先では、そのブドウ品種の特徴と代表的な産地を紹介しています。
ブドウ品種の特徴と代表的な産地とは
先ほどご紹介した白ワインに使われるブドウ品種について、その特徴と代表的な産地についてご紹介します。
シャルドネ
■代表的な産地
<シャルドネの代表的産地>
- フランス中部のブルゴーニュ地方
- フランス北部のシャンパーニュ地方
- フランス北西部のロワール地方
- アメリカのカリフォルニア
- オーストラリア
■シャルドネの特徴
白ワインはシャルドネといっても過言ではないほど、有名なブドウ品種。酸味とコクのバランスのとれたブドウです。
主張の強くないバランスのよいブドウのため、樽熟成させればオークの香りが加わって複雑な風味に仕上がります。
また、シャルドネからは軽いワインから重厚なワインまで、様々なスタイルのワインが造られます。
バラエティに富んだ風味を生み出すシャルドネは多くの人から好かれ、世界中で栽培されています。
香りはリンゴや柑橘系の果物に例えられます。
樽熟成をしたものはバニラのような香りも加わります。
また、高級なものほど、熟成によって風味が増して味わい深くなるものが多いという特徴のあるブドウ品種です。
リースリング
■代表的な産地
<リースリングの代表的産地>
- ドイツ
- フランス北部のアルザス地方
- オーストラリア
■リースリングの特徴
シャルドネがフランスの白ワインを代表するのであれば、ドイツの白ワインを代表するのがこのリースリング。
優雅さや繊細さが特徴的なブドウで、シャルドネと並び「二大高貴腐白ブドウ」と呼ばれています。
甘味と酸味のバランスがとれたブドウ品種です。ただ、産地によって甘味と酸味の強弱が大きく変わります。
若いうちは白い花の香り、青リンゴや柑橘系の香りが特徴的ですが、熟成するにつれて複雑になり、石油を思わせる独特の香りを放ちます。
ソーヴィニヨン・ブラン
■代表的な産地
<ソーヴィニヨン・ブランの代表的産地>
- フランス北西部のロワール地方
- フランス南西部のボルドー地方
■ソーヴィニヨン・ブランの特徴
酸味がやや強いため、さっぱりとフルーティーな味わいのワインを造りやすいという特徴があります。
軽やかなタイプのものが一般的ですが、ボルドー地方では樽熟成を経た重厚なタイプも造られており、味わいも辛口のものから甘口のものまで、バラエティに富んでいます。
香りは比較的華やかです。青草を思わせるグリーン系の香り、グレープフルーツの香り、それからスパイシーな香りも感じられます。
セミヨン
■代表的な産地
<セミヨンの代表的産地>
- フランス南西部のボルドー地方
- オーストラリア
■セミヨンの特徴
ボルドー地方では辛口ワインだけでなく、濃厚な甘さをもった貴腐ワインもセミヨンから栽培されています。
味わいはワインのタイプによって異なりますが、どちらも酸味の少ないワインとなります。
香りに関してもワインのタイプによって異なります。
辛口に仕上げられる場合には柑橘系の香り、甘口の貴腐ワインは蜂蜜の香りがします。
シュナン・ブラン
■代表的な産地
<シュナン・ブランの代表的産地>
- フランス北部のロワール地方
- 南アフリカ
■シュナン・ブランの特徴
酸味が非常に強く、繊細・エレガントな味わいはリースリングに近いともいえます。
そんなシュナン・ブランからは辛口、中甘口、甘口、極甘口、スパークリングと、幅広いスタイルのワインが造られます。
シュナン・ブランから造られたワインには、蜂蜜やメロンなど、甘みを感じさせる香りがあります。
高品質のものからは湿った藁や蜂蜜の香りを感じることができるでしょう。
ミュスカ
■代表的な産地
<ミュスカの代表的産地>
- フランス北部のアルザス地方
- フランス南部のコート・デュ・ローヌ地方
- 南フランス(ラングドック地方、ルーション地方、プロヴァンス地方)
- イタリア
■ミュスカの特徴
ミュスカというのは、いわゆるマスカット・ブドウのことです。
ミュスカから造られるワインは果実味のある、さわやかな甘みのあるものとなります。
主に、甘口ワインの原料としても使われています。
香りに関してもマスカットの甘いにおいがします。
その他、白い花の香りにも例えられます。
スティルワインではなく、フォーティファイドワインの場合には、レーズンの香りがします。
スティルワインとフォーティファイドワインについてはこちらの「ワインの種類には何があるの?製法によって4つに分けられる」をご覧ください。
ワインには単一(ヴァラエタル)ワインとブレンドワインがある
ワインには1つのブドウ品種しか使わない単一(ヴァラエタル)ワインと、複数のブドウ品種を混ぜて造られるブレンドワインがあります。
ワインのエチケット(ラベル)を見ると、ブドウ品種が書かれていないものがあることに気づくはずです。
この何も書かれていないのがブレンドワインです。
ワインのエチケットについて詳しく知りたい方はこちらの「ワインのラベルをエチケットと呼ぶ理由とは?エチケットはどう見るの?」をご覧ください。
ブドウ品種ごとの味わいを知りたいなら新世界のワイン
ワインの産地は大きく2つに分けられ、1つは古くからワインを造っている旧世界。
もう1つは比較的に最近ワインを造り始めた新世界があります。
フランスやイタリア、スペイン、ドイツなどの旧世界では、ブレンドワインが主流です。
その一方、アメリカやチリ、オーストラリア、日本などの新世界では単一ワインが主流となっています。
ブドウ品種ごとにワインの味わいを知りたいというのであれば、新世界のワインを試してみるとよいでしょう。
まとめ
以上、白ワインに使われるブドウ品種の種類、特徴、産地についてご紹介しました。
シャルドネ以外のブドウ品種についても知ることができましたね。
新世界の単一ワインで品種ごとの味わいを知ったうえで、旧世界のブレンドワインを飲んでみてください。
そうすると味わいの複雑さを理解でき、ワインの楽しみが広がっていきます。
ここに紹介した内容を参考に、実際にそのブドウ品種のワインを味わってみてはいかがでしょうか。
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