「銀座レカン」の近藤佑哉さんに教わる、日々の食卓でのペアリング。グランメゾンのソムリエも実践する、晩ごはんに合わせるワインを紹介します。今回は、今や垂涎の魚となった「さんまの塩焼き」とワインの相性を考えてもらいました。
文/谷 宏美
【目次】
1. 近藤ソムリエの直筆コラム「秋刀魚(さんま)に教わった日」
2. ペアリング その1:さんまの塩焼き しょう油&大根おろし添え
3. ペアリング その2:さんまの塩焼き 柑橘を絞って
4. ペアリング その3:さんまのグリル ハーブ&トマト風味
1. 近藤ソムリエの直筆コラム
「秋刀魚(さんま)に教わった日」
ワインの勉強を始めたころのこと。夕飯のさんまの塩焼きに何気なく白ワインを合わせようと開けて飲んだとき、第一声が「なんか違う……。」それまで僕の中で揺るぎなかったセオリー、それが「魚には白、肉には赤」でした。
調理法などにもよりますが、肝(内臓)や血合いの鉄分の風味をもつ魚には、タンニンがある赤やロゼワインとの相性がよい場合も多く、白ワインを合わせてしまうと生臭い香りが際立ってしまうことがあります。結果として料理の風味を損ねてしまうこともあって、注意が必要だったのです。何ごとも決めつけて覚えてしまうのはよくないな、とさんまに教わりました。
今となってはよい経験、よき思い出のひとつです。皆さんもペアリングを考える際は常道を当たり前と思わず、柔軟に考えてみてください。
近藤 佑哉
秋の味覚は多しといえど、さんまといえばその代表格。近年不漁が続き、すっかり高級魚になってしまい、旬も短く入手もしづらくなりました。
それでも香ばしい焦げ目のついたさんまの塩焼きは食べたいもの。「さんま&ワイン」、どんな合わせ方があるのでしょうか。