初デートで正しくワインで失敗する方法 vol.4:初デートで行ってはいけないお店

ワイン・エキスパートに合格したほどワイン愛好家なら、デートのお相手ももちろんワインが大好き。となれば、初デートでワイン・バーや、ワインに熱心なお店へ行くのが定石ですね。
今回は、初デートで行ってはいけないお店について解説します。いつも、ワインの仲間と毎月1回は行くお店と、初デートで行くお店は全く別物です。間違ったお店を選択すると、たとえ、お店に美味いワインが揃っていて、お相手がワイン大好きであっても、一発で嫌われる可能性が大です。
ヨットレースでは、スタートの号砲が鳴る前に、他艇より有利な位置を取るために細かい駆け引きをしています。同様に、初デートの前段階のお店選びの時点で、既にデートは始まっています。決して、お店選びの手を抜いてはなりません。
初デートで行ってはいけないお店について、具体的に解説します。

文/葉山考太郎


【目次】

行ってはいけないお店その1:活気がありすぎる店
行ってはいけないお店その2:客が一人もいない店
行ってはいけないお店その3:体育会系のサークルのたまり場的な店
行ってはいけないお店その4:子供が走り回っている店
行ってはいけないお店その5:ワイン飲み放題の店
行ってはいけないお店その6:立ち飲みの店
まとめ


①行ってはいけないお店その1:活気がありすぎる店

「ワイン・エキスパート」に合格していても、「デート・エキスパート」は?

活気のあるお店は、仕事帰りに友人とちょっと一杯飲むには絶好の場所です。しかし、初デートではおススメしません。
店員さんが、店名を染め抜いた藍染めの前掛けをしていて、初デートの二人で入店した瞬間、店員さん全員が、「はい、いらっしゃいませっ、お二人様、ご来店でーす」と、全国高校柔道大会の応援団のように大きな声で出迎えられると、ロマンチックな雰囲気が一瞬で吹き飛びます。
耳にペンをはさんだ店員さんが注文を取りに来て、「ヴォギュエのシャンボール・ミュジニーのレザムルーズ(注1)をグラスで2つお願いします」とオーダーすると、店員さんが、「はい、喜んで」と叫び、奥へ、「ヴォギュエのレザムルーズを2つ、いただきましたっ」と注文を通したりします。
「活気がある」は、別の見方をすると、「落ち着かない」です。築地市場でのマグロの競りみたいに、怒号が飛び交い、ゴム長がキュッキュッときしるようなお店では、ゆっくりお話ができません。「去年、イタリアのボルゲリにあるオルネッライア(注2)を訪問したんだけど、地中海に沈む夕陽でブドウ畑が真っ赤に染まってね……」なんてロマンチックなお話しを披露する雰囲気はなく、「先月、山梨県のワイナリーで収穫を体験したんだけど、背中のバスケットにブドウを入れすぎてギックリ腰になってね、救急車で運ばれたんだよね」みたいな、お馬鹿でトホホなお話しにならざるを得ません。
落ち着いた大人の雰囲気のあるワイン・バーやレストランを探しましょう。

注1:エレガントなブルゴーニュで最もエレガントな村がシャンボール・ミュジニー村で、さらにエレガントな1級畑がレザムルーズ。畑名は、「恋人達」を意味するので、初デートに最も相応しい赤ワイン。名手、ヴォギュエが作るレザムルーズには、これぞブルゴーニュという「高貴な官能」があり、高校3年生の頃のカトリーヌ・ドヌーヴという感じ。1本10万円超と非常に高価だけれど、初デートで飲まないで、いつ飲む? 男性から、「ヴォギュエのレザムルーズを飲みに行きませんか?」と誘われて断る女性は、ワイン・エキスパートやソムリエの資格を剥奪されるべき。

注2:イタリアを代表する超高級ワインの生産者。トスカーナ州のボルゲリ村に本拠を置く。地中海性気候は、植物が成長する夏に雨がほとんど降らないので、農業には適さず、観光業が盛んになるのが定石(ヨーロッパの高級ワインの産地は、海洋性気候が多い)だけど、オルネッライアをはじめ、トスカーナ州は、地中海性気候で唯一、高級ワインを作っている土地かも。

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