浅妻千映子の最新レストラン事情 Vol.22〜生ハムとイタリアワイン

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生ハムとイタリアワイン

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浅妻千映子の最新レストラン事情 Vol.22〜生ハムとイタリアワイン

少し前に仕事で、生ハムの美味しい店を取材した。

色々な店を試食する中で面白かったのは、極薄く切った、本当に美味しい生ハムに熱燗を合わせるというのが、密かなブームになっていることだった。

「本当に美味しい」という表現は曖昧だが、生ハム自体は自家製ではないので、まずは、どのブランドのものを仕入れるかというのが大切にはなる。

それがある程度きちんとしているなら、切りたてであること、薄さ、そして脂が酸化していないという3つのポイントが、特に熱燗に合わせる上では大事だったように思う。

口の中で暖かいお酒とともに広がる生ハムの香り、脂の甘さ。

体だけでなく、心まで緩んでいくような美味しさは、ちょっと病みつきになりそうだった。

さて、生ハムの美味しいお店を食べ歩く中で、すごいワインリストを持っているお店を発見してしまった。

生ハムと言えば? ランブルスコである。

ランブルスコと言えば、甘いとか、初心者向けなんていうワードが付いて回ることも多いが、実のところ甘いばかりではなく、味の幅も広く、納得できる味のものがあることを体験している人は多いはずだ。

とはいえ、せいぜいバルで見かけたときの最初の一杯、あるいはもう何年も飲んでいないという人もきっと多いことだろう。

目白駅からすぐのエミリア=ロマーニャ料理店「トレ ガッティ」。

店内に入るなり、美味しいものを出してくれる空気が流れている店だ。

エミリア=ロマーニャといえばパルマがあり、生ハムが有名であり、ワインではランブルスコ。この店では、グラスだけでなく、なんと10種類以上のランブルスコがリストに載っている。

こんな店はなかなかない。

ランブルスコとともに食べたい最初の一皿は、クラテッロ。生ハムの中でも高級な部類に入るものだが、これに無塩の発酵バターをのせ、ニョッコフリットという揚げパンに挟んで食べる。

カロリーを気にせず、ガブリと大きく食べ、その美味しさを堪能したい。

どこかで美味しいランブルスコを手に入れることができたら、友人同士の気軽な集まりにひょいと持っていくのも楽しいと思う。昼酒としても良さそうだ。

来年の今頃は、お花見の席で、みんなでこれを楽しめていたらいいなと思う。

さて、カジュアルで美味しいイタリアワインで思い出した店が一つある。

今年の2月にオープンしたばかりの麹町「トラットリア ピエトラ ビアンカ」。

こちらは、ブーツのかかと、プーリア料理店だ。プリフィクスのディナーコースは、前菜、パスタ、メイン、デザートにコーヒーも含まれ、ボリューム満点。

丁寧に料理の説明をしてくれるのが嬉しく、郷土色が強い料理は特にそそられる。

「プレディファーベ」「プラチョーレ」「カチョリコッタ」……、耳慣れないものほど興味深い。

グループごとにプーリア地方のオリーブオイルを一本、その場で封切ってくれ、残ったものそのまま持ち帰らせてくれるサービスもあり、これで一人6,050円とは、かなりお得。アラカルトでのオーダーもできる。

そして、ワインはプーリア産に限定。グラスは600円から、ボトルは3,300円から。

70種類近くがあって、5,000円あれば、充分に選択肢もあって楽しめる。

きちんとしたコースと美味しいワイン、お土産もついて一人1万円で収まるとは。

ランチもお得なので、この辺りに縁のある人は、まずは一度、訪れてみてほしいと思う。

▶︎トレ ガッティ(Tre Gatti)のFacebookはこちら

▶︎トラットリア ピエトラ ビアンカ(Trattoria Pietra Bianca)のウェブサイトはこちら

2020.04.03


浅妻千映子 Chieko Asazuma

J.S.A.認定ワインエキスパート。
1972年東京生まれ。聖心女子大卒、大手建設会社で3年間のOL生活ののち、フードライターに。
著書に『食べたきゃ探そう』(時事通信社)、『東京広尾 アロマフレスカの厨房から』『パティシエ世界一』『江戸前「握り」』(すべて光文社)。『東京最高のレストラン』(ぴあ)採点者としても活躍。パティシエをテーマにしたマンガ『キングスウヰーツ』(全5巻 小学館)の原案を担当。近年は『dancyu』などの媒体でもレシピを公開。人気サイト「All About」でプラチナレシピのガイドも担当している。

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