知らない人はいないファッションの街、ミラノ。そのミラノは、特徴あるワイン産地、ロンバルディアの州都です。モンテ・ナポレオーネ通りのブランドショッピング、ミラノ大聖堂(ドゥオモ)やガレリア。そして、『最後の晩餐』見学と観光だけで旅を終えずに、ワイン産地に足を延ばしましょう!
ミラノのマルペンサ空港に降り立つと、雪をいただく雄大なアルプス山脈が見えます。そうです!そちらの方角でも有名ワイン産地が、あなたの訪問を待っています。
今回は、トスカーナやピエモンテに比べれば知名度が高くはないものの、伝統方式ではイタリアNo.1の泡や、コスパ抜群のネッビオーロの赤ワインなどに恵まれた、ロンバルディア州に注目します。ワインの引き出しを増やして、レストランやワインバーでソムリエさんたちを驚かしてしまいましょう!
【目次】
1. イタリア最高峰の泡~フランチャコルタ
2. ピノ・ノワールの一大産地~オルトレポー・パヴェーゼ
3. 向こう三軒両隣~お隣の州とブドウを共有
4. イタリア最小アペラシオン?
5. ロンバルディアのまとめ
ロンバルディアには、紀元前のエルトリア人、ケルト民族の時代からのブドウ栽培の歴史があります。その後のローマ帝国時代の支配下では、ミラノやコモなどに都市が建設される一方で、ワイン文化は一層繁栄します。その後のゲルマン民族系のランゴバルド王国が、現在のロンバルディアの語源になっています。
北緯45度に立地し、州の中央辺りに所在するミラノを起点に考えると、重要な産地をわかりやすく捉えることができます。
最北部の産地は、スイス国境の山岳地帯の渓谷アッダ川流域のヴァルテッリーナ・スペリオーレ。
北部中央の湖水地方の産地では、イゼオ湖周辺のフランチャコルタとモスカート・ディ・スカンツォ。そして、北東部のガルダ湖周辺のルガーナ。
そして、南西部のアペニン山脈を臨む産地は、オルトレポー・パヴェーゼ。南東部には、エミリア・ロマーニャ州境のランブルスコ・マントヴァーノ。
どうでしょうか?ロンバルディアのワイン産地が頭に浮かんできませんか。さぁ、それでは、ひとつひとつ見ていきましょう。
1. イタリア最高峰の泡~フランチャコルタ
フランチャコルタDOCGは、イゼオ湖の南にある、伝統方式の高級スパークリング産地。イゼオ湖の南側に、石灰岩の土壌を有する丘陵地が南東と南西に分かれて、氷堆石土壌の谷間がその間に広がっています。
ベルルッキ・ワイナリーが1961年に販売を開始しました。当時は、ピノ・ビアンコが主要品種。ベルルッキに加えて、カ・デル・ボスコ、ベラヴィスタが参入。こうした大手が全体の生産量の半分程度を占めます。
この産地、時代を遡れば、16世紀には既に、醸造学に精通していた、医師ジロラモ・コンフォルティが、著述を残しています。「ピリッと辛いワインについての小冊子」というスパークリング・ワインに関しての書物で、その後の生産者へのガイドラインにもなりました。かのドン・ペリニヨンが活躍するのは17世紀のことですから、実は長い歴史と伝統の裏付けがある産地です。
シャンパーニュよりも、温和な大陸性気候にめぐまれて、果実が良く熟します。ですから、ドサージュでの糖分添加をほとんど行わずに、残糖が少ない、ブリュット・ナチュールやエクストラ・ブリュットが主流のスタイル。それでも、果実味由来の自然な甘みを感じます。酸も比較的、穏やかです。
栽培の規定を見てみると、収量制限は当然のことですが、棚仕立てや大型仕立てのジェニーヴァ・ダブルカーテンを規制すると言った徹底ぶり。糖度が上がり過ぎないように、収穫は早く、8月中旬には始まります。澱熟成も、通常のノンヴィンテージのキュヴェでも18か月。シャンパーニュでは、12か月ですから高品質を目指していることが分かります。
現在では、フランチャコルタは、シャルドネ、ピノ・ノワールとピノ・ビアンコから造られますが、ピノ・ビアンコの、50パーセント以上の使用は認められません。
2017年のヴィンテージから採用された、土着の白ブドウ品種のエルバマット。10パーセントまで、ブレンドに使用できることになりました。16世紀の昔に起源を持ちますが、ほぼ絶滅品種になっていた晩熟のブドウ。アルコールが上がり難く、酸が高いという特徴は、温暖化の昨今、長所として再評価されたのです。
生産者のバローネ・ピッツィーニは、規模では大手には及びませんが、このエルバマットの復活に尽力。この品種をブレンドしたフランチャコルタのキュヴェ、アニマンテを他の生産者に先駆けてリリースしました。また、フランチャコルタで、初めてオーガニック認証を取得したことでも知られる優良生産者です。
フランチャコルタでは、いわゆるブラン・ド・ブランに相当する、シャルドネを主体とした白ブドウのみを使うキュヴェは、「サテン」と名づけられています。90年代半ばに、それまでのクレマンという呼び方を改めて、絹のように柔らかな味わいという意味合いを、意識した名称がつけられました。
通常の伝統方式のスパークリングの瓶内気圧は、6気圧程度。サテンは、5気圧以下と規定され、ブリュットのみが認められています。
スパークリングのワイン造りでは、瓶内二次発酵をさせる際に、リキュール・ド・ティラージュという、糖と酵母を溶かしたものをベースワインに添加します。1気圧の瓶内気圧を得る為には、10℃のアルコール度数10パーセントのベースワインに対して、1リットル当たり4グラムの糖分が必要です。ですので、この添加する糖分量を調整すれば、必要な気圧が得られます。
この微妙な瓶内気圧のさじ加減もあって、「サテン」は、きめ細やかでエレガントな泡立ちのワインになるのです。
泡だけじゃない~イタリアのコトー・シャンプノワ
シャンパーニュ地方で生産される非発泡のスティルワインには、コトー・シャンプノワと言うアペラシオンが与えられています。フランチャコルタで、これに相当するアペラシオンが、クルテフランカDOCです。フランチャコルタの泡が1995年にDOCからDOCGに昇格。元々はDOCに含まれていた、スティルワインは、当初、テッレ・ディ・フランチャコルタという名称でしたが、2008年に改称されたものです。
辛口白ワインは、シャルドネが最低50パーセント、ピノ・ノワールあるいはピノ・ビアンコを最高50パーセントまで使用することが可能です。
一方、辛口赤ワインの場合は、ちょっと様相が異なります。ピノ・ノワールが主要品種として、扱われないのです。カルメネーレとカベルネ・フランを最低20パーセント、カベルネ・ソーヴィニョンが10~35パーセント、メルロを最低25パーセント使用することが義務付けられています。
ボルドーでは失われたブドウ品種となって、今や、チリで、有名になったカルメネーレ。なんと、この品種がイタリアのロンバルディア州で珍重されているのは面白いですね。
このブドウは、チリでは、以前はメルロと間違われていました。そして、ロンバルディアでも、長らく、カベルネ・フランと思われていたのです。それが、90年代後半に、カルメネーレと判明。その後、アペラシオンで使用可能なブドウ品種として正式に登録された経緯です。
2. ピノ・ノワールの一大産地~オルトレポー・パヴェーゼ
オルトレポー・パヴェーゼは、ポー川の南部の、温和な大陸性気候の産地。位置的に、リグリア海からの地中海性気候の影響も受けます。
歴史は古く、古代ローマ時代の地理学者、ストラボンの著述の中に、良いワインを生む、大樽を使っている産地として描かれています。
でも、今日につながるピノ・ノワールの繁栄は、1850年にコンテ・ヴィスタリーノ社のカルロ・アウグスト・ジョルジが、フランスからピノ・ノワールを持ち込むことで始まります。
ピノ・ノワールの産地と言えば、筆頭はブルゴーニュとシャンパーニュ。果実の凝縮度で言えば、なんと言ってもカリフォルニア。そして、近年、温暖化の影響もあり品質向上が著しいドイツ。このあたりが、この品種の栽培面積上位の顔ぶれです。
印象が薄いかも知れませんが、実はこれに続くのがイタリア。そして、過半を生産するのが、ここ、ロンバルディアです。最大品種の土着の黒ブドウ、クロアティーナに続いて、ピノ・ノワールが栽培面積第2位と健闘しています。1970年からの40年間で、1,500ヘクタール程度の栽培面積が、5,000ヘクタールへと大幅に拡大しました。
このピノ・ノワールが実力を最も発揮するのが、伝統製法の泡です。
最低7割のピノ・ノワールを使う、オルトレポー・パヴェーゼ・メトード・クラシコDOCG。フランチャコルタDOCGに次いで、伝統方式のスパークリングのDOCGを2007年に取得。オルトレポー・パヴェーゼの産地で唯一のDOCGです。
そのオルトレポー・パヴェーゼ・メトード・クラシコの中でも登録商標まで取っているフラッグシップが、特別なロゼの「クルアゼ」。ロゼのベースワインから造り上げます。
イタリア北部には、ピノ・ノワールを使う伝統方式の泡の銘醸地が、林立しています。ここ、ロンバルディアでは、オルトレポー・パヴェーゼ・メトード・クラシコDOCGとフランチャコルタDOCG。東隣の、トレンティーノ・アルト・アディジェ州には、トレントDOC。そして、西隣のピエモンテ州には、アルタ・ランガDOCと言った具合です。
この際ですから、3つ纏めて憶えてしまいましょうか。ディナーの乾杯に、敢えて、イタリア北部の伝統方式の泡を選ぶなんて、なんとおしゃれなことでしょう。
リースリングの実力とクロアチアの女の子
ピノ・ノワールと同時期に、オーストリアからリースリングもこの産地に持ち込まれました。そして、最近では、新しい時代の造り手が活躍して、品質が向上しています。
実質、イタリアで一番のリースリングを決める品評会が、アルト・アディジェで行われています。2021年の大会で、オルトレポー・パヴェーゼのリースリングが並み居るトレンティーノ・アルト・アディジェ州を筆頭とした産地の生産者を退けて、1位になりました。
オルトレポー・パヴェーゼで忘れてはいけないブドウ品種に、最大品種の黒ブドウ、クロアティーナがあります。名称は、『クロアチアの女の子』という意味。クロアチア発祥との説もありますが、ここオルトレポー・パヴェーゼが発祥という説の方が有力なようです。
このブドウは、ボナルダとも呼ばれ、ボナルダ・デッロルトレポ・パヴェーゼ DOCというアペラシオンもあります。ややこしいのは、この品種名。
アルゼンチンの黒ブドウ栽培面積第2位のボナルダとは異なります。そして、ピエモンテ州のボナルダ・ピエモンテーゼとも違うのです。その一方、ワインそのものは、気軽に飲めるフルーティなものが中心です。単一品種としても、ブレンドでも使用されます。
3. 向こう三軒両隣~お隣の州とブドウを共有
ロンバルディアには、近隣の州とお仲間のブドウ品種を使用しているアペラシオンが幾つかあります。とは言っても、全く同じ品種が同じように使われるのでは無く、ひとひねりもふたひねりもした特徴あるワインが造られています。
ヴァルテッリーナ・スペリオーレDOCG
ヴァルテッリーナ・スペリオーレDOCGは、ローマ帝国時代に既に高く評価されていた歴史ある産地です。その昔は、栽培面積も6000ヘクタールと今日の比では無いほど栄えていたのですが、19世紀のカビ病やフィロキセラ禍とその後の戦火の影響で凋落。2010年代には850ヘクタールまで減少します。
東アルプス山麓の段々畑での栽培が有名。スイス国境にほど近く、アルプスを源流として、東西方向に流れ、コモ湖にそそぐアッダ川流域の産地。
ここでは、お隣のピエモンテ州のバローロやバルバレスコに使われる、ネッビオーロを使ってワインを生産しています。
かなりの急こう配で、石垣で囲った畑が壮観です。200メートルから800メートルという斜面。モーゼルや北ローヌも真っ青です。緯度は46度で、すぐ北にはアルプスが立地します。一方、日照に恵まれて、南向き斜面の岩がちな土壌と、石垣のおかげで太陽光を蓄熱できるというメリットがあります。
ピエモンテよりも気温は低いのですが、こうしたブドウの生育環境に助けられてエレガントなワインが造られています。
収穫は手摘み中心ですが、ケーブルを張って果実を入れたバスケットを運搬。さらには、ヘリコプターまで使う生産者も。
ネッビオーロは、ここではキアヴェンナスカと呼ばれます。2年間の熟成で、内1年間は樽熟成。バルバレスコは、26か月熟成で、内9か月が樽熟成ですから、法定熟成期間は、ほぼ同程度ということになります。
この産地には、公的なサブゾーンが認められていて、アッダ川沿いの東から順番に、ヴァルゲラ、インフェルノ、グルメッロ、サッセッラ、マロッジャの5つの地域名をラベル表記することができます。概して、サッセッラが長期熟成に向いた洗練されたワインを生むと言われています。
お値段的にも、こなれたワインが多いので、お買い得。生産者も畑もさっぱり聞いたことがないのに、価格だけが高いバローロやバルバレスコに遭遇したら、ヴァルテッリーナ・スペリオーレを選ぶ方が、格好が良いかも知れません。熟成期間の短い、ロッソ・ディ・ヴァルテッリーナDOCなら、更にお手軽にエレガントなネッビオーロのワインを楽しめます。
評価が良い生産者としては、多少価格はお高めですが、アール・ペ・ペが挙げられます。5代続くワイン造りの歴史を持つ生産者。大樽やセメントタンクを使った、長期間の発酵や熟成、更には瓶内熟成にまで、じっくり時間を掛けてワインを仕上げます。
この産地のフラッグシップ的な位置付けでも有り、また希少なワインは、スフォルツァート。ネッビオーロをアパッシメント製法(陰干し)で造る辛口ワインです。ヴェネト州のアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラのネッビオーロ版と言ったら分かりやすいでしょうか?
収穫後、ブドウは最低でも12月初頭までは乾燥させて、糖分と酸味を凝縮。その後、残糖がほとんどなくなる迄、発酵させるので、アルコールは、15~16パーセントに上がることも。最低20か月の熟成期間を取ります。
ルガーナDOC
ルガーナDOCは、ガルダ湖の南部で、ロンバルディア州とヴェネト州の2つの州にまたがっています。ここで使われている白ブドウ品種は、トレッビアーノ・ディ・ルガーナ。
イタリアには、トレッビアーノと呼ばれるブドウ品種が、多々あります。中でも、イタリアで一番栽培面積が大きいのは、トレッビアーノ・トスカーナ。トスカーナ州ではもちろん、ウンブリア州のアペラシオンのオルヴィエートでも、プロカニコの名称で使われています。また、フランスではコニャック用に使われる、ユニ・ブランの名前で知られています。
トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェは、ヴェネト州でソアヴェDOCの補助品種として活用されている品種。マルケ州では軽快な白ワイン用に主要品種として重用され、ヴェルディッキオと呼ばれています。
良く知られているトレッビアーノだけでも、上記の2つのグループがありますが、トレッビアーノ・ディ・ルガーナは、トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェと似ていて、同一品種と言われることもありました。でも、骨格がしっかりして、長熟可能性を秘めたこのワイン。この品種は他のトレッビアーノとは別物だ!と生産者たちが主張しました。そして、DNAの検査結果も後押しして、トゥルビアーナという独立した品種名を公式に宣言するに至りました。
トレッビアーノと名前が付く品種は、他にも、トレッビアーノ・ダブルッツォ、ジャッロ、スポレティーノ等、まだまだあります。このブドウは、古代ローマの大プリニウスの著書にも登場。歴史が古い分だけ様々な種類に枝分かれして行ったのかもしれません。しかし、DNAが近くない品種もあり、必ずしも全てが共通の祖先を有しているわけでは無いとも言われています。
これだけ、多岐にわたるトレッビーノなのですが、その殆どは旧世界のワイン産地に集中。新世界のワイン産地では殆ど栽培品種に選ばれていません。
ランブルスコ・マントヴァーノDOC
ランブルスコ・マントヴァーノDOCは、ロンバルディアのアペラシオン。あれっ?と思われる方は、結構なワイン通。ランブルスコのワインと言えば、エミリア・ロマーニャ州の赤い微発砲の泡というのが基本ですから。
ランブルスコは、さまざまな種類の黒ブドウ品種のグループ。良く知られているのは、最大栽培面積を誇るランブルスコ・サラミーノ種。軽快な味わいを生むランブルスコ・ディ・ソルバーラ種。厚みがあるランブルスコ・グラスパロッサ種と言った所が、主だった品種です。
ランブルスコ・マントヴァーノDOCは、ポー川とオーリオ川に挟まれたロンバルディア南東部の比較的、平坦な産地。中世にはベネディクト派の修道士が、ブドウ栽培を行っていたと言う歴史ある土地です。
このアペラシオンは、エミリア・ロマーニャ州のランブルスコ・サラミーノ種主体のアペラシオンと州境で接しています。ですが、ユニークなのは、このロンバルディア側の産地では、地元の土着品種、ランブルスコ・ヴィアダネーゼが重用されていることです。
イタリア固有のブドウ品種は300種類とも400種類を超えるとも言われます。世界のブドウ品種の3割に当たるとも言われ、その多様性には目を見張るものがあります。
それでも、州境を越えただけで、地続きの産地に、存在感を放つ地元のブドウ品種がすぐに見つかるのは驚きですね。
ワイン造りの方も、伝統を大切にして、昔ながらのメトード・アンセストラルを守っている生産者たちがいます。冬の気温低下で発酵が途中で止まったワインを瓶詰。その後、瓶内での再発酵を通して微発泡のワインが生まれます。この手法は、自然派の微発泡ワイン、ペットナットでも使われています。
4. イタリア最小アペラシオン?
モスカート・ディ・スカンツォDOCGは、つい最近まではイタリアで最も栽培面積の小さなDOCGでした。イゼオ湖周辺のベルガモ郊外にある、たった31ヘクタールしかない300メートルから500メートルの丘陵地の南向き斜面の産地。
しかし、2019年に新しく認められたアブルッツオ州のトゥルムDOCGが18ヘクタール足らずだったので、残念ですが、その地位を譲ることになりました。
でも、全くその希少性は失われてはいません。薫り豊かで、この産地のみで栽培されている、珍しいマスカットの黒ブドウから造る甘口の赤ワイン。
9月から10月中旬の間に行われる収穫は、手摘み。健康なブドウのみを厳選して、最低でも3週間、乾燥させます。その上、1トンのブドウ重量から搾れる果汁重量を示す搾汁率も、最大3割程度。通常のワインでは、6~7割程度ですから、その希少性が分かろうもの。
熟成期間の2年間を経て、タンニンもなめらかになり赤系果実や花の香りをまとった甘口ワインに変貌します。
9月には、モスカート・ディ・スカンツォ祭りが催されます。テイスティングや、ブドウ畑を見ながら走るマラソン大会とプログラムが盛りだくさんです。
5. ロンバルディアのまとめ
観光都市ミラノがあるロンバルディア州が、こんなにカラフルなワイン産地だったという事をご存じだったでしょうか?
伝統製法で造る高級な泡の代表的な産地。そのお蔭で、ピノ・ノワールやシャルドネの栽培面積も広く、国際ブドウ品種が活躍している産地のひとつです。それでも、多種多様な土着ブドウを誇るイタリア。詳しく見ていくと、クロアティーナ、トゥルビアーナにランブルスコ・ヴィアダネーゼと地元の生産者たちが、胸を張って栽培している品種が見つかります。
こうした、知る人ぞ知る土着品種のワインを楽しむというのも、ワイン通の喜びのひとつ。アカデミー・デュ・ヴァンでは、吉川麻美先生によるイタリア品種の集中講座ほか様々なクラスで皆さんのお越しをお待ちしています。