最近はハンズオフのワイン作りがトレンドとなり、できるだけ手をかけないことが美学のように語られます。特に清澄と濾過はネガティブに捉える人も増えていますが、無濾過無清澄だからいいワインと言えるのでしょうか。
文・写真/小原 陽子
【目次】
1. 清澄はいつ、何のためにする?
2. 果汁清澄の問題点は?
3. ワインの清澄はなぜ行う?
4. 無清澄とは清澄しないことではない
5. 濾過の重要な意味は品質の維持
6. 過ぎたるは及ばざるがごとし、だけれども
1.清澄はいつ、何のためにする?
発酵後に行うと思われてしまいがちな清澄ですが、特に白ワインやロゼワインの場合、まず発酵前の果汁の段階で行うことがほとんどです。
これは圧搾したばかりの果汁には果肉や果皮のかけらなど、多くの固体が含まれていて濁っているからです。ただし、実際には「濁っている」ことが問題なのではなく、そこに含まれる固形分が微生物に分解されるなどして欠陥臭が発生するリスクがあること、固形分は酵母の栄養素ともなるため、発酵が早く進みすぎて温度が高くなり、白ワインやロゼワインに求めるアロマが揮発により失われてしまうことなどが問題で、そのためにある程度の清澄を行う必要があるのです。