ワインソムリエに1年でなるには?知っておくべき5つの事柄

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シックなユニフォームに身を包み、高級レストランで流れるようにワインをサービスする専門家、ソムリエ。ワイン好きなら誰もが一度は憧れるこの存在になるには、どうすればいいのでしょうか?

後述するとおり、ソムリエは職業名でもあり資格名でもあります。

たとえ資格がなくとも、レストランやバーなどで働きワインを提供していれば、ソムリエを名乗ることはできます。でもやはり、資格があってこそ、胸に輝くソムリエバッジがあってこそはじめて、周囲からは「本物」と認めてもらえるのが実情です。

ただ、ソムリエの資格取得はそう簡単なものではなく、それなりに道は険しいもの。

そこで、第一にすべきは情報収集です。

本記事では、日本で最も多くのソムリエ資格試験合格者を輩出してきたワインスクール アカデミー・デュ・ヴァンが、羨望の的であるソムリエバッジを手にするために、まず知っておくべき5つの事柄を以下の目次で解説します。


【目次】


以下を読めばソムリエとは何かがわかり、1年以内に資格とともに「本物」になる道筋がわかるようになります。

ワインソムリエとはどんな職業か? ソムリエの年収は?

ワインソムリエになるには?

職業としてのソムリエは、レストランなどの飲食店で、ワインを中心とした飲料全体のサービスを行うホールスタッフを指します。

その仕事には、ゲストの要望に応じて料理に合わせたワイン選びの手伝いをし、実際にワインをサービスすることのほか、仕入れるワインの選定やワインリスト作り、在庫管理なども。
営業時間中は常に忙しく立ち動くことになりますから、肉体的にはそれなりにハードな仕事です。

ソムリエが活躍する場は、高級レストランに限りません。
現在の日本では、多種多様な業態の飲食店やバーでワインが楽しまれており、ワインがある店ならばそこでソムリエが活躍するチャンスがあります。

もちろん、高級レストラン以外では、料理と飲料のサービス、あるいは調理までもが分業になっていないことがむしろ普通で、ソムリエが何役も兼ねることがあります。

いまは、日本全国どこも飲食店は求人難で、とりわけワインを扱っている店では「ワインのわかる人材」が求められているため、これからソムリエになりたい方にとっては売り手市場です。

ソムリエの年収は300万円~600万円程度が普通ですが、キャリアやお店のグレードによってかなりの幅があります。
各種のソムリエ・コンクールで上位入賞したりすることなどで知名度を上げ、自分のキャリアを磨いていけば、年収1000万円に到達することも夢ではありません。

トップクラスになると、レストランでのサービスという「本業」以外にも、飲食店のコンサルティング、講演やセミナー、雑誌やテレビの仕事といった「副業」も増え、収入アップにつながります。

ふたつのワインソムリエ資格~どちらを取るべきか?

ソムリエとして働くなら、やはりソムリエ資格は絶対に欲しいもの。

ワインを飲む習慣のある国なら世界中どこでもソムリエの資格があって、フランスやイタリアのように国家資格になっているところもあります。

現在日本では、2つの民間団体が「ソムリエ」の資格認定を行っています。

日本ソムリエ協会認定資格「ソムリエ」

ひとつめは、1969年に発足した一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)が、1985年から認定しているもので、2022年1月現在の資格保有者数は約3.9万人。

受験するには、飲食店での仕事もしくはワインに関連する職業(酒販製造・流通、教育など)にフルタイムで通算3年以上従事し、一次試験当日に現職であることが必要です。

従事年数が3年に満たない方には、同じソムリエ協会がワイン愛好家向けに認定している資格「ワインエキスパート」の取得を、ひとまず目指すというオプションがあります。

「ワインエキスパート」資格は「ソムリエ」資格と同等、または準ずるものとワイン業界でも認められているものです。

ワインエキスパートの詳細は下記の記事をご覧ください。
ワインエキスパート資格を取得する5つのメリットとその難易度・合格率

全日本ソムリエ連盟認定資格「ソムリエ」

もうひとつは、NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)に属する団体である全日本ソムリエ連盟(ANSA)が1997年から認定しているもので、2018年10月現在の資格保有者数は約3,300人。

受験資格は申込み時に満20歳以上であることだけなので、日本ソムリエ協会認定「ソムリエ」の受験資格がない方(業務経験が3年未満の方)は、こちらの資格を目指してもよいでしょう。

ただ、国際ソムリエ協会にも加盟している日本ソムリエ協会の資格と比べれば、マイナーな資格であることは疑いないこと(資格保持者数の差がそれを物語っています)。

「業界でのパスポート」としての資格取得をと考えるなら、日本ソムリエ協会の資格を目指すべきかと思われます。

ワインソムリエ資格を取ることのメリット

「ソムリエ」資格を手にいれるためには、受験者は世界中のワインについて幅広く学び、その知識を習得することを求められます。これは、ソムリエという職業でキャリアを築いていくためにはとても大切なことです。

無資格の自称「ソムリエ」は、自分のお店のワインや、自分に関心のある産地・ジャンルのワインにはとても詳しくても、守備範囲外のことはほとんど知らなかったりします。
しかし、資格取得のための勉強をすれば、世界中のワインについて、一通りのことがわかるようになるのです。

実技試験として課されるテイスティング(利き酒)の訓練についても、同じことが言えます。世界のワインを幅広く試飲し、その特徴や品質について鑑定・表現できるようになることは、ソムリエという職業にとって最も重要なことのひとつです。

また、ワインの実際のサービスや、仕入れや在庫管理の方法についても、基本を学ぶことができます

このあたりの実務知識・技能は、高級店で働いていれば日常業務の中で身につくことですが、それ以外の業態の飲食店で働かれている方にとっては、貴重な学びの機会となることでしょう。

ソムリエ資格を取得して、その認定バッジをユニフォームに付けることができれば、顧客の信頼を勝ち得ることもできます。

ソムリエバッジは、「私はワインの専門家です。安心してご相談ください」というメッセージを雄弁に語ってくれるのです。

日本ソムリエ協会認定「ソムリエ」資格試験の概要と難易度・合格率

日本のワイン業界でスタンダートとなっている、日本ソムリエ協会認定の「ソムリエ」資格試験は年に1回、夏から秋にかけて行われます。

ソムリエ試験は一次試験、二次試験、三次試験に分かれており、一次試験はいわゆる筆記で二次試験がテイスティングと論述、三次試験がサービス実技の審査です。

それぞれの試験に合格した受験生のみが、次の試験へと進めます。

「ソムリエ」資格の一次試験: 難易度 ★★★★★

ソムリエ資格の一次試験は、選択肢から正解を選ぶ方式で、世界中のワイン産地についての知識を問う設問を中心に、日本酒、その他のお酒について、またサービス、仕入れや在庫管理などの実務、テイスティング理論、チーズについてなど、幅広く問われます。

出題のもととなるのは、毎年3月上旬にソムリエ協会が発行する年度版公式テキスト『日本ソムリエ協会教本』に記載の内容です。問題の難易度は高く、「仕事でワインを扱っていれば、自然と身につく知識」が、一次試験で出題されることはあまりありません。

試験対策の暗記学習を入念に行うことで、はじめて解けるような問題がほとんどです。一次試験単体での合格率は例年50%未満で、半分以上の受験者が一次試験で脱落します。

「ソムリエ」資格の二次試験: 難易度 ★★★

二次試験では、スティル・ワイン3種、スティル・ワイン以外のアルコール飲料2種を、銘柄がわからない状態でテイスティングして、その特徴や素性を答えます。

スティル・ワイン3種については外観、香り、味わいについて語群の中から選んでコメントを作成し、生産国、主要ブドウ品種、ヴィンテージなどについても選択肢の中から回答します。

スティル・ワイン以外のアルコール飲料については、銘柄名を選択肢から回答するのみです。
こちらも、日頃から仕事でワインを試飲していれば、それだけで正解できるような試験ではなく、専門的なワインのテイスティング技術が求められます。

二次試験ではまた、「テイスティング試験で供出された2 番目のワインに合わせて、お勧めする料理とその理由を200 字以内で説明してください」といった論述問題も、3題出題されます(ただし、この論述の採点結果は、次の三次試験の合否判定に併せて用いられます)。

ソムリエ資格試験の二次試験で求められるスキルは高度なものですが、合格点が低めに設定されていることもあって、二次試験単体での合格率は例年80%前後。4人のうち3人がパスできます。

「ソムリエ」資格の三次試験: 難易度 ★

ソムリエ資格試験の三次試験はサービス実技です。ワインを寝かせて置く籠(パニエ)に入れた状態で、栓をソムリエナイフで開けてデキャンターに移し替え、ゲストにサービスする一連の流れを審査されます。

ソムリエ試験の三次試験単体での合格率は、例年90%前後であり、「ある程度事前に練習・準備すれば、誰でもパスできる」ものです。

「ソムリエ」資格の合格率

「ソムリエ」資格の過去7年(2015年~2022年)の合格率は、31.3%で難易度が高い資格試験です。「ワインエキスパート」の合格率が、平均して38%前後ですので、「ソムリエ」資格試験の合格率から考えると、合格するのが難しい資格試験といえるでしょう。

日本ソムリエ協会認定「ソムリエ」資格試験の合格率と1年合格のための基本戦略

ソムリエ資格試験の一次~三次試験トータルでの合格率は過去3年(2017~2019年)いずれの年も30%未満。3人に1人が合格できるかできないかの狭き門です。

合格のために必要な試験準備期間は、個人差はありますがおおむね半年から1年ぐらいでしょうか。

ただ、気合いさえ入れれば、志してから1年以内にソムリエバッジを手にすることは十分可能です(試験時期との兼ね合いはありますが)。

ソムリエ資格試験の最大の難関は一次試験(2023年7月20日(木)~8月31日(木)※CBT方式)

最大の難関は、実に細かい専門知識が問われる一次試験の突破です。夏に行われる一次試験に合格すべくゼロからはじめる場合、できれば前年の秋頃から、遅くともその年の初めから、まずはワインの基礎知識を身につけていきましょう。

基礎のないところに建物は建ちません。最初の3ヶ月~半年は基礎づくりに費やし、残りの半年で試験のための暗記にガリガリ打ち込むのがよいやり方です。

二次試験対策(2023年10月16日(月)

10月の二次試験対策で重要なのは、銘柄がわからない状態でワインを試飲(ブラインド・テイスティング)し、分析・推定する能力を身につけること。

こちらもスポーツのようなもので、日々訓練を重ねることで実力が積み上がっていくものです。

試飲能力をもつプロや専門家の方の指導を受けながら、1年かけて徐々に力を磨いていきましょう(ただし、重要なのは期間というより試飲をした場数ですから、集中的に取り組めば、たとえば半年間でも力をつけることはできます)。

こちらも、一次試験同様に行程の半分は「基礎体力づくり」に費やし、残りの半分で試験テクニックを身につけ仕上げをしていくイメージです。

なお、論述試験については一次試験の延長的な内容なので、ワインと料理と組み合わせの基本を学ぶこと以外は、ことさらに準備をする必要はありません。

三次試験(2023年11月27日(月)

11月にあるソムリエ資格試験の三次試験については、サービス実技の流れの「型」を覚え、ソムリエナイフでの抜栓そしてデキャンティングというふたつの技術を身につけるのみ。

指導してくれる人がいるならば、ワインを20本も開けて練習すれば合格レベルのスキルは身につきます。
試飲の特訓と同時進行的にやっていくとよいですが、二次試験終了から三次試験までの1ヶ月強の期間で、「一夜漬け」的に身につけることもできなくはありません。

大切なのは、一次から三次のどの試験についても、道のりを示し、導いてくれる「師匠」を身近に置くことです。
一次~三次のどの試験も、我流・独学でパスすることは無理ではありませんが、いろんな意味で険しい道のりにはなります。

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まとめ

本記事では、ソムリエという仕事に興味をお持ちの方に向けて、どういう職業か、ソムリエ資格にはどんなものがあるか、ソムリエ資格を取ることのメリットは何かについてまず述べました。

そしてスタンダードな資格である日本ソムリエ協会認定「ソムリエ」試験の概要や難易度、合格への基本戦略について、解説してきました。

ソムリエという職業につくこと自体は難しくないものの、「運転免許証」とも言えるソムリエ資格を手にするには、かなりの努力と研鑽が必要になります。

しかし、「好きこそ物の上手なれ」です。もしあなたがワインに情熱を傾けていて、「好きを仕事に」したいのであれば、ぜひ努力を重ねて資格を手にしてください。

アカデミー・デュ・ヴァンをはじめとするさまざまなワインスクールが、試験の約半年前から対策講座を開講していますので、そうした講座に通って学ぶのが合格への早道です。

そこから先には、明るい職業人生と新しい扉の数々が待ち受けているはずです!

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