アカデミーデュヴァンで、「シャンパーニュマスター講座」を」担当する人気講師で、自称シャンパーニュオタクの吉田さおりが、シャンパーニュの魅力を全力で伝える新連載。第2回目は、吉田さおりが、自らの体験から培ってきたシャンパーニュのテイスティングメソッドを公開します。
文・写真/吉田さおり
【目次】
1.吉田さおりならではの、テイスティングメソッド
2.まず外観は、濃淡に注目
3.香りは、還元、酸化、ノーマルを基準にとらえよう
4.味わいのポイントは、酒質のレベル(厚味と旨味)
1.吉田さおりならではの、テイスティングメソッド
読者の皆様、こんにちは!!
アカデミー・デュ・ヴァンの吉田さおりです。
今回は、私が考えたシャンパーニュのテイスティングメソッドをご紹介します。これは、あくまで、私個人の考えで作成したものですので、異論がある方もいらっしゃるかと思いますが、最後までお付き合いくだされば幸いです!!
2.まず、外観は、濃淡に注目
(1)濃淡:濃い、やや濃い、中程度、やや淡い、淡い
スティルワインも、外観のコメントとして、濃淡は必須のコメントですが、シャンパーニュの濃淡も重要なコメントです。
シャンパーニュの濃淡で推測できるのは、主に酸化度合いです。酸化度合いが強いと外観の色は濃くなります。スティルワインの濃淡で推測できることは、酸化度合いだけでなく、使用ブドウの熟度感もありますが、シャンパーニュの場合は、この熟度感云々よりも、酸化度合いのほうが濃淡に影響してきます。
酸化の要因として、挙げられるのは、下記の事柄です。
①ベースワイン造りでの樽使用
②リザーヴワイン使用率(NVの場合)
③デゴルジュマン(澱抜き)後の経過年数
ベースワインというのは、シャンパーニュの製法の場合、発泡性ワインを製造する前段階に造るスティルワインのことです。例えば、白のシャンパーニュを製造する場合、まずは白ワイン(スティルワイン)を造ります。これをベースワインというのですが、このベースワインの製造段階での樽使用、つまり、酸化的醸造を行ったものですね。
そして、リザーヴワインとは、生産者の蔵で保管(熟成)させているワインのことです。
NV(Non Vintage)の場合、リザーヴワイン比率が高いほど、酸化度合いが強くなるため、濃淡は濃くなります。
そして、シャンパーニュの濃淡で、最も影響するのは、デゴルジュマン(澱抜き)後の経過年数です!! シャンパーニュは、デゴルジュマン後から、酸化熟成が始まりますので、デゴルジュマン後からの経過年数が長いほど、濃淡は濃くなります。
(2)色調:グリーンのニュアンスが強い、ベージュのニュアンスが強い
シャンパーニュの色調で推測できるのは、白ブドウ比率が高いのか、黒ブドウ比率が高いのかです。白ブドウ比率が高いと、グリーンのニュアンスが強く、黒ブドウ比率が高いとベージュのニュアンスが強いです。
これは、若いシャンパーニュはもちろんのこと、熟成が進んだシャンパーニュで全体の調がゴールド色になっているものでも確認できますよ!!
今もし、シャンパーニュを飲んでいらしたら、グラスを目線の高さにあげ、濃淡と色調を見てみてください!!