あの人のワイン人生 vol.1 ~ 後藤芳輝さん「極真空手からのワイン挑戦」

「ワインは人生を豊かにする」それを体現されている人たちにフォーカスし、その素敵なワイン人生を語っていただくシリーズ。第1弾は、極真空手からワインの世界へ、ダイナミックなライフチェンジを遂げた後藤芳輝先生です。空手の世界を極め、やがて日本におけるニューヨークワインの伝道師として名を馳せるようになったワイン人生を語っていただきました。

本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。


【目次】
1. 空手とニューヨーク
2. 架け橋になりたい
3. アカデミー・デュ・ヴァン Step-Ⅰへの途中入校
4. ニューヨークワインの挑戦のはじまり
5. 新しい地図
6. ニューヨークのカルチャーを発信したい


1. 空手とニューヨーク

14歳から極真空手を志し、全日本選手権にも出場しました。大学卒業後、指導員として渡米したのがニューヨークとの出会いです。当時は、アメリカで自分の道場をやりたいと思うほどのめり込んでいました。現地で妻と知り合い、子供も授かり、一生ニューヨークに住むつもりでした。

当時は断然ビール派。ところがウォールストリート近郊に引っ越したとき、目の前の小さなワインショップで、10ドル前後のワインを買って飲むようになりました。ショップの店員からワインを学ぶなかで、徐々にワインの世界へ心惹かれていったのです。

2. 架け橋になりたい

人生の転機があるとするならば、ニューヨークで現在も学んでいる武術空手の師匠宇城憲治先生と出会ったことだと思います。その出会いがきっかけで日本に帰国することになりました。

そして帰国後、アメリカの友人から興味深い提案が舞い込みました。「フランスワインの輸入をはじめるから、日本でも輸入しないか」と声をかけられたのです。もともと家族が貿易業に携わっていたので、「おもしろそう」と即答し、ワイン輸入ビジネスに着手することになりました。

3. アカデミー・デュ・ヴァン Step-Ⅰへの途中入校

ニューヨークでワインを飲んでいたけれど、まだ専門的な知識には欠けていました。そこで2011年に、はじめてアカデミー・デュ・ヴァンの門を叩いたのです。Step -Ⅰへの途中入校でしたが躊躇せずに申し込み、楽しいクラスメートに引っ張られるままに、気づいたら Step -Ⅱ、受験クラスまで通い、「ワインアドバイザー(現在は「ソムリエ」という呼称)」の資格も取得していました。クラスメートとは、毎週飲みにいったり、新潟のオーベルジュまで旅行したりするほど親交が深まり、その仲間に野村貴一先生もいたことは不思議なご縁を感じます。

4. ニューヨークワインの挑戦のはじまり

2012年に資格取得。いよいよ本格的にワインの輸入に動き始めたのですが、日本のワイン市場はフランスやカリフォルニアワインが飽和状態。そこで思い入れのあるニューヨーク州のワインを取り扱うことに決めました。「ニューヨークと日本の架け橋になりたい」と気持ちが高鳴りました。

当時、日本においてはニューヨークワインの輸入業者は皆無で、ソムリエ協会の教本でもほんの少し扱われるだけでした。いざ輸入をしようといても、今と違ってインターネットでも情報がまったくない状態。3年前のワイン雑誌を調べて、星がついているつくり手を中心にあたっていきました。

つくり手からは「アメリカでもニューヨークワインなんて売れていないのに、日本で本当に売れるの」と心配されるほど。周囲からは「ニューヨークワインってラブルスカでつくられているんでしょ」とか「低価格のやつだよね」と冷ややかな反応でした。当時のニューヨークワインの知名度は、それほど低かったのです。

5. 新しい地図

そんなニューヨークワインが脚光を浴びるきっかけとなったのは、「冷涼ワイン好き」に評価してもらえたことでしょう。高緯度から産出されるニューヨークワインは、清らかな酸、エレガントな果実味が特徴なのです。

2016年から取引をはじめたエレメント・ワイナリーのクリストファー・ベイツ氏が来日して、アカデミー・デュ・ヴァンでニューヨークワインの魅力を語ってくれたことも、その転機となりました。クリストファー氏はシェフとして活躍後、マスターソムリエとしてキャリアを積み、ワインメーカーになった有名人でもあります。

こうしてニューヨークワインは、日本市場になくてはならない「定番のワイン産地」へと地図が塗り替えられたのです。

6. ニューヨークのカルチャーを発信したい

日本では「ワインの学び」というと、本を読んだり、試験を受けて問題を解いたりするイメージが一般的かもしれません。しかし、ニューヨークでは「ピンクニック」といって、ピンクと白のドレスコードでロゼワインを野外で飲むイベントなどでワインを楽しんでいます。これからは、ニューヨークワインの魅力を伝えつつ、こうしたワインの楽しみ方も伝えていきたいと思っています。

アカデミー・デュ・ヴァンで学ぶ皆さんには、ぜひオープンマインドでワインを楽しんでいただきたいと思っています。ワインはフランス、イタリアだけでなく、多様な国から産出されています。なによりもワインの楽しさを、スクール以外の友達ともわかち合ってください。

プロフィール

後藤芳輝(ごとうよしき)
GO-TO WINE代表

  • 星座:うお座
  • 血液型:O型
  • ワイン以外の趣味:空手、寿司握り、キャンプ、サウナ
  • 好きな食べ物:ラーメン、焼き鳥
  • もし生まれ変わったら何になる:建築家
  • 酔っぱらったらどうなる?:おしゃべりになる
  • 人生を変えたワイン:Wolffer Estate Rose

 


空手を極めた男のハートは熱く、ときには冷静。これからもニューヨークワインの邁進はとまらなさそうです。

次回は「Yone Farm TOMI(ヨネ・ファーム・トウミ)」の米倉利典さんです。お楽しみに!

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世界的に高名なワイン評論家スティーヴン・スパリュアはパリで1972年にワインスクールを立ち上げました。そのスタイルを受け継ぎ、1987年、日本初のワインスクールとしてアカデミー・デュ・ヴァンが開校しました。

シーズンごとに開講されるワインの講座数は150以上。初心者からプロフェッショナルまで、ワインや酒、食文化の好奇心を満たす多彩な講座をご用意しています。

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