Wine Scholar Guild(以下WSG)は、イタリア、フランス、スペインのワインに特化した専門的な知識を提供する認定プログラムを開発している教育機関。米国ワシントンDCを拠点に設立されてから約20年、目覚ましい成長を遂げ、現在、世界30カ国、5大陸にわたる広がりを見せ、その勢いはとどまるところを知りません。今回は、そんなWSGが誇る注目の資格試験についてご紹介します。
【目次】
1. 情熱が生んだワイン教育革命
2. ワイン教育の翼を広げた革命家
3. 知識を階段的に極められるプログラム
4. 深掘り型ワイン教育の魅力 ~WSETとの違い
5. 専門家の強力なサポート
● マスター・オブ・ワイン(MW)
● マスター・ソムリエ(MS)
6. ワイン教育界を覆す教材
7. 魅力的な講師陣
1. 情熱が生んだワイン教育革命
WSG の創設者であるジュリアン・カミュ氏は、フランス・アルザス地方出身。2004年、ワシントンD.C.のフランス大使館に通商担当官として赴任しました。その任務は、まさにフランスワインと蒸留酒のアメリカ市場における普及でした。カミュ氏が最も驚いたのは、専門家だけでなく消費者までが「ワインを学びたい」という情熱を抱いていたことです。特に注目すべきは、彼らがヨーロッパの主要なワイン産地に関する歴史、地理、文化といった「深堀り」的な知識を渇望していた点です。
当時のワイン教育は、世界のワイン生産に関する概略的な内容が主流で、特定の国や地域に焦点を当てて深く掘り下げるプログラムは皆無だったのです。そこでカミュ氏は、2005年にフランスワインに特化した教育プログラムを提供することを決断。「French Wine Society」としてその第一歩を踏み出したのです。
2. ワイン教育の翼を広げた革命家
フランスから始まった教育プログラムは、その評判がまるでジェットコースターのように急上昇。2015年にはイタリアのワイン教育プログラムを、2017年にはスペイン版を立ち上げました。これに合わせ、団体名も「Wine Scholar Guild」と変更。フランスワインに留まらず、イタリアやスペインといった他の主要ヨーロッパワイン産地についても深く掘り下げるプログラムを提供するという、組織の拡大と使命を如実に反映させた形です。
その後、カミュ氏はWSETが選ぶ「Future 50」に名を連ねました。この賞は、ワイン、スピリッツ、日本酒の分野で次世代を担うリーダー50名に贈られる栄誉で、カミュ氏の名がそこに刻まれたのも納得の結果です。フランス人でありながら、フランスにとどまらず、イタリアやスペインワインの魅力を広め、ワイン消費にまで大きな影響を与えたのですから、その功績はまさに計り知れません。
3. 知識を階段的に極められるプログラム
このプログラムの最大の特徴は、世界のワイン産地をざっくりと概観するのではなく、フランス、イタリア、スペインといった国ごとに深く掘り下げる点にあります。しかも、それぞれの国のプログラムはさらに階層化されており、初心者向けの「Essentialsエッセンシャル」、中上級者向けの「Scholarスカラ」といったレベル別に分かれています。フランスに関しては、最上位資格として「Masterマスター」クラスが用意されており、その徹底ぶりには目を見張るものがあります。
このような階層構造のおかげで、自分のレベルに合ったペースで学ぶことが可能です。無理なく進められる設計ですが、油断は禁物。学べば学ぶほど、知識の深さに驚き、つい次のレベルに挑戦したくなる――まさに知識欲を刺激する巧妙な仕掛けといえます。
4. 深掘り型ワイン教育の魅力 ~WSETとの違い
国際資格といえば、イギリスに拠点を置く教育機関WSETを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、WSGはそのアプローチにおいて明確な違いを持っています。以下にそのポイントをご紹介します。
まず第一に、WSETが栽培、醸造、そして世界中のワイン産地を幅広く学ぶのに対し、WSGは特定の国を深く掘り下げる点です。一国一国、その歴史や文化、地理まで、まるで探偵のように追求します。
次に、試験形式の違いです。WSETは上位資格に進むほど論述が主体となり、特にLevel4 Diplomaでは全てが記述試験。しかし、WSGでは選択式の問題が中心で、マスタークラスでさえ記述試験はほんの一部に限られています。また、WSETではLevel3以上でテイスティング試験が求められる一方、WSGにはどのレベルにもテイスティング試験がありません。試験中にグラスを手に汗握る心配は無用です。
最後に、試験内容のアプローチも異なります。WSETでは上位資格になるほど「なぜ(Why)」や「どうやって(How)」を説明する力が求められますが、WSGはシンプル。「何(What)」を問う問題に、ストレートに答えれば良いのです。深く考えすぎて迷子になる心配もなく、むしろ明快な回答が求められる仕組みと言えます。
5. 専門家の強力なサポート
WSGのプログラムが高い品質と信頼性を誇る理由は、著名な専門家たちとの協力にあります。その中核を担うのが、世界で最も難関とされる資格「マスター・オブ・ワイン(MW)」と「マスター・ソムリエ(MS)」の称号を持つ一流のプロフェッショナルたちです。その代表的なメンバーを見ていきましょう。
マスター・オブ・ワイン(MW)
Jane Anson MW ジェーン・アンソン
ボルドーの権威で、特にフランスワインに関するプログラムに貢献しています。
Andrew Jefford MW アンドリュー・ジェフォード
フランスワイン産地に精通し、WSGの主要講師兼コンテンツ開発者でもあります。まるで詩のような美しい表現が評判です。
Elizabeth Gabay MW エリザベス・ガベ
ロゼワインの専門家で、プロヴァンスなどのプレミアムロゼに関するプログラムを担当。
Tim Wildman MW ティム・ワイルドマン
自然派ワインとスパークリングワインの第一人者で、WSGに新たな視点を提供。
マスター・ソムリエ(MS)
David Glancy MS デイヴィッド・グランシー
サンフランシスコ・ワインスクール創設者で、上級ソムリエのトレーニングを提供。
Evan Goldstein MS エヴァン・ゴールドスタイン
フードとワインのペアリングの名手で、教材開発にも貢献。
Laura Rhys MS ローラ・リース
各地のワイン産地のアンバサダーとして、ソムリエとWSGの連携を推進。
これらの専門家たちが築くプログラムは、単なる教育を超え、ワインの知識を探求する旅そのものと言えるでしょう。
6. ワイン教育界を覆す教材
講義に加え、ビデオ講義、ウェビナー、クイズといった多彩なツールが用意されています。特にFrench Wine Scholarでは、航空写真を駆使した動画で各ワイン産地を紹介。画面越しに旅する感覚で学べるのは、なかなかの贅沢です。また、クイズはまるで知識の宝探しゲーム。気づけば夢中になり、学びが進んでいるという巧妙な仕掛けが魅力です。
7. 魅力的な講師陣
アカデミー・デュ・ヴァンでは、WSET Level4 Diploma以上の資格を持ち、さらにWSGのスカラを高得点で合格した講師たちが担当。海外での学びを通じて得た経験を惜しみなく活かし、単なる知識の伝達にとどまらず、その産地の魅力を生き生きと伝える達人たちです。講義が楽しいだけでなく、知識の深さに感心すること間違いありません。
ここまで深い知識と情熱をもってワインを学べる機会は、まさに「宝の山」。WSGが提供するプログラムに一歩踏み出せば、きっとワインの世界が新たに広がることでしょう。さあ、あなたもワインの冒険に出かけませんか。
次回の「Essentialエッセンシャル」編では、初心者でも気軽にワインの魅力を感じることができるプログラムをご紹介いたしますので、どうぞお楽しみに。
ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」では、レベル別にEssentials講座、Scholar講座をフランス及びイタリアの産地国に絞って開講しています。
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