ロゼワインと聞いて「ロゼワインって赤ワインと白ワインを混ぜたものでしょ?」と思う方もいるかもしれません。
間違いではありませんが、その醸造法が許されているのはフランスのシャンパーニュ地方だけ。
ロゼワインはそう簡単に造られているわけではありません。
赤や白と同様に、ロゼワインにも奥の深い世界があるのです。
【目次】
- ロワール地方アンジュー地区(Anjou)
- コート・デュ・ローヌ地方タヴェル地区(Tavel)
- ブルゴーニュ地方コート・デュ・ニュイ地区(Côte de Nuits)
- プロヴァンス地方(Provence)
- シャンパーニュ地方(Champagne)
- その他
では、上の目次に沿ってロゼワインを説明していきます。
ロゼワインとは
ロゼとは、フランス語でバラ色やピンク色という意味があります。
英語ではローズと発音しますが、意味は同じです。
ロゼワインとは、バラ色、ピンク色をしたワインのことです。
その色の美しさを堪能するのもロゼワインを楽しむポイントです。
ロゼワインを見ると、無色透明のボトルに詰められていることがほとんど。
無色透明で中がよく見えるために、ボトルを開ける前からロゼワインの優美なバラ色を楽しめますね。
本来ボトルは緑色や茶色といったように色つきのものが多いですが、それは長期保存するワインを太陽光から守るための意味合いがあります。
ロゼワインには若飲みのものが多いですから、無色透明のボトルが使えるというわけです。
ロゼワインは赤ワインと白ワインの中間?
ロゼワインは、その色においても赤ワインと白ワインの中間に位置しています。
ロゼワインは「色が非常に淡い赤ワイン」や「黒ブドウを原料とした色の濃い白ワイン」との区別がつきませんよね。
そうしたことから、ワイン法の製法が詳細に法律で規定されているヨーロッパにおいてもロゼワインを技術的に定義する条文はありません。
また、色だけではなく、醸造法も赤ワインに似ていたり、白ワインに似ていたりします。
赤ワインとも白ワインとも言えない中途半端な特徴が好かれなかったのか、ワイン愛好家からは重要視されてきませんでした。
しかし、最近になって長期熟成させたもの、高級なものが出回り始めました。
さらに今ではフランスで生産されるワインの3分の1がロゼワインとなっています。
ロゼワインの4つの醸造法
ロゼワインには以下のような4つの主な製造法があります。
では、順に説明します。
セニエ法
セニエ法は、最も一般的なロゼワインの製法です。
発酵タンクに除梗・破砕した黒ブドウを入れて、数時間から2日ほど浸します。
軽く色づいた果汁だけを引き抜いて発酵を続けて仕上げる方法です。
この方法は赤ワインの醸造工程とよく似ています。
直接圧搾法
直接圧搾法の場合は、黒ブドウを除梗・破砕して、それをプレス機で絞ります。
そうすると、うっすらと色づいた果汁が取り出せます。
その果汁を発酵させて仕上げます。直接圧搾法の流れそのものは、白ワインの製法と同じです。
ブレンド法
ブレンド法は、白ワインに少量の赤ワインを足して造る方法です。
この方法はフランス・シャンパーニュ地方のスパークリングワインにのみ使われています。
というのも、シャンパーニュのような本格的なスパークリングワインの場合はセニエ法で安定した色のロゼを造るのが技術的に難しいので、ブレンド法が認められているというわけです。
ロートリング
ドイツには、黒ブドウに白ブドウを加えて造るロゼワインがあります。
ドイツで有名なロゼワインでロートリングと呼ばれます。
醸造法としてはセニエ法と同じ。使うブドウ品種に白ブドウが混ざったものです。
「ブレンド法なら自分の家でもできそう」と思った方もいるかもしれません。
しかし、赤ワインと白ワインを混ぜて造ったロゼワインは、味わいにまとまりがなくなります。
ですから、自分で混ぜて造るのはあまりおすすめできません。
ロゼワインのカロリーと糖質
ロゼワインを楽しもうと考えたときにはカロリーや糖質についても気になるかもしれません。
気になる方のために、他のお酒のカロリーや糖質と比較しながらロゼワインのカロリーや糖質を見ていきましょう。
お酒の種類 | カロリー | 含まれる糖質 |
ロゼワイン(100ml) | 77Kcal | 4.0g |
赤ワイン(100ml) | 73Kcal | 2.0g |
白ワイン (100ml) | 73Kcal | 2.0g |
ぶどうジュース(100ml) | 55Kcal | 14.5g |
ウィスキー(100ml) | 237Kcal | 0g |
本醸造酒 (100ml) | 107Kcal | 4.5g |
梅酒(100ml) | 156Kcal | 20.7g |
赤ワインや白ワイン、そして蒸留酒に比べるとロゼワインは、糖質が高いということが分かりますね。
その一方で、日本酒や梅酒、ぶどうジュースに比べると低糖質となっています。
カロリーや糖質についてもっと知りたいという方はこちらの「ワインは太りにくい?糖質やカロリーはどのくらいなの?」をチェックしてみてください。
ロゼワインに合う料理には何がある?
ロゼワインがどんな料理に合うのかについては気になるところですよね。
ロゼワインは赤ワインと白ワインの中間ということもあり、どんな料理でも合わせやすいのが特徴です。
さらに言えば、辛い料理とのマリアージュがおすすめです。
というのも、辛いものを食べると何か冷たいものを飲みたくなりますよね。
低温が適した白ワインだとスパイシーな味わいに負けてしまいます。
ですが、赤ワインを冷やしすぎると渋味が際立ってしまいます。
そこで、中間のロゼワインが活躍するというわけです。
フランスにあるタイ料理やベトナム料理などの辛口料理の飲食店には、ロゼワインが置いてあります。
飲むときの適切な温度に関して詳しく知りたい方はこちらの「ワインのおいしい飲み方!温度とワインの味わいの関係性とは」をご参考ください。
代表的なロゼワインには何がある?
ロゼワインに興味がある方・興味が湧いた方のために、最後は代表的なロゼワインについてご紹介します。
<代表的なロゼワイン>
では、順に説明します。
ロワール地方アンジュー地区(Anjou)
フランスのロワール地方は、プロヴァンス地方と並ぶ有名なロゼの産地です。
代表的なものとしてはロゼ・ダンジューと、カベルネ・ダンジューという2種類のロゼワインがあります。
どちらも中甘口のワインとなっています。
コート・デュ・ローヌ地方タヴェル地区(Tavel)
タヴェル地区のロゼは「ロゼの王」とも呼ばれるほど有名。
このタヴェル地区ではロゼだけを生産しているというほどです。
ここで生産されたロゼは辛口で色も濃く、飲みごたえのあるものとなっています。
ブルゴーニュ地方コート・デュ・ニュイ地区(Côte de Nuits)
コート・デュ・ニュイ地区の最北部にあるマルサネ村(Marsannay)では、赤ワインや白ワインも造られますが、ロゼワインの産地として有名です。
プロヴァンス地方(Provence)
プロヴァンス地方のワイン生産量の約9割がロゼワインとなっています。
プロヴァンス地方のロゼワインは、腰の部分がくびれたボトルが有名です。
ただ、最近では様々な形のボトルが使われるようになりました。
シャンパーニュ地方(Champagne)
シャンパーニュ地方のロゼワインは、赤ワインと白ワインを混ぜるブレンド法という醸造法が唯一認められています。
小数ではありますが、セニエ法で製造している生産者もいます。
その他
フランスの産地を中心を紹介しましたが、その他にもロゼワインの産地はあります。
例えば、スペイン。ナバラ地区(Navarra)は有名で、文豪ヘミングウェイも愛したロゼワインと言われています。
ポルトガルのマテウス(Mateus)も有名ですね。
ボックスボイテル型のワインボトルが印象的です。
ワインボトルに関して詳しくは「ワインボトルは産地によって異なる?ワインボトルの種類とサイズとは」をお読みください。
さらに、アメリカのホワイト・ジンファンデル(White Zinfandel)もワインビギナーに愛される味として人気を博しています。
まとめ
以上、ロゼワインについておさらい的にご紹介しました。
これまで知らなかったということもあるのではないでしょうか。
最近では赤ワインや白ワインと並んでロゼワインも注目を集めていますから、たまにはロゼワインを楽しんでみてはいかがでしょうか。
なお、赤ワインと白ワインの基礎的な知識を知りたいという方はこちらの「ワインの超基本!赤ワインと白ワインってどう違うの?」をご覧ください。
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