日本のビジネスシーンでも、ワインの存在感が日増しにマシマシになっている昨今。パンデミックで接待メシが「休憩中」のいま、カゲ勉で基本マナーぐらいは身につけときましょう。まずは形から入るのが大切です。最終回のテーマは「ワインを語る」です。いわゆるワイン上級者でも、いっつも零点のロボコンが大量に生息するのがこの深い谷なのですが、まずは基本を覚えましょう。
文/バーニー山犬
【目次】
①ワインの話は、相手をしっかり見極めて
②ビジネス本再読のススメ
③とにかく相手を否定しない
④無知≠無関心
⑤今回のまとめ
①ワインの話は、相手をしっかり見極めて
Vol.1からVol.4まで、ソムリエやワインショップを盾にうまく立ち回ってきたあなた。ワインと向き合わずに逃げ回ってきたかのように見えて、少しずつ場数を踏むあいだに、幾分興味も増してきたように見受けられます。今、終着駅無きワイン道のどのあたりをあなたが歩いてらっしゃるか、ワタシに知る術はありません。しかし、その深淵を一目覗いてみようなどと、一度でも思い至ってしまっていたら。途方もない喜びを享受する代償として、ワインを気にもかけていなかった、あの頃のあなたにはもう、戻れません。そして、今もワインのことなどこれっぽっちも頭にない人たちからみたら、あなたはすでに異形の存在なのです。
「知りたい」という人間の欲求は凄まじいもの。誰しもが呼吸するように、文庫本で過去の偉人の伝説に夢をはせ、日々ネットでは真偽定かでない最新ニュースを読み漁る。世界中に数多の銘酒が転がっていて、伝統産地からも日夜新たなスター生産者が発掘され、地上にはいまだブドウに侵略されていない未開のフロンティアすら残っている。ワインは、そんな人間の飽くなき知識欲を満たすにはもってこいの代物です。
仮にあなたがいよいよどっぷりとハマった挙句、足げくレストランやワインスクールに通い詰め、身銭をきって心躍る眩い知識を手に入れたとしましょうか。費用対効果を考えてしまうと、隙あらば他人に披露したくなってもやむを得ないのかもしれません。ただ、どうか少し思いとどまってください。もしかしなくとも、ワインが高尚な趣味だと思っているのは、あなただけかもしれません。ワインはただただ、日本に生を受けた人間の公平な物差しで見て、美少女フィギュアを収集する趣味と比べ(該当する方はごめんなさい)、「若干」世間で好意的に受け入れられているだけに過ぎません。ですから、ビジネス、プライベートに限らず、あなたのワイン愛をどの程度相手にぶつけてよいかどうかは、慎重に判断する必要があります。