ワイン映画でワインが飲みたくなるか? Vol.2 『サイドウェイ』

コロナ自粛は残念ながらまだまだ続きそうである。店だろうが屋外だろうがウチの中だろうが、家族以外の人間とワインを飲んではまかりならんとお上から言われてしまったいま、巣ごもりして映画でも見ながら、一杯やるしかない。

そんなわけで今月の特集では、ワインをテーマにした映画を5本、筆者の独断と偏見で選び、見たらワインが飲みたくなるかを検証してみる。Vol.2は、後年に日本版リメイク映画も制作され、今年日本で舞台にもなったあの名作、『サイドウェイ』(2004)である。

※「地球上で最大級の品揃え」を誇るらしい、某大手通販サイトのオンデマンドビデオ視聴サービスで見られるものから映画は選んでいるが(各原稿執筆時点)、視聴可能作品はどんどん変わっていくから、さっさと見てくださいね。


【目次】

1. どんな映画なの?
2. ここに注目その1: サンタ・バーバラのワインツーリズム
3. ここに注目その2: 「Sideways Effect」とは何だったのか?
4. ここに注目その3: その他のミドコロ
5. 結論: ワインはどれぐらい飲みたくなるか?


1. どんな映画なの?

ワインを題材にした映画としては、歴史上もっともヒットし、高い評価を得た作品ではないだろうか。アカデミー賞で脚色賞を、ゴールデングローブ賞で作品賞をそれぞれ取った。筆者も何度見たかわからないぐらいだ。

邦題は『サイドウェイ』だが、原題は複数形の『Sideways』。単数系だと「脇道、横道」ぐらいの意味だが、複数形になると副詞としても使われる。副詞としては、「好色な流し目で」なんていう、映画の登場人物ジャックを想起させる用法も辞書にはのっている。

なお、日本で2009年に制作されたリメイク版のタイトルは、複数形の『サイドウェイズ』でややこしい。この記事でお勧めするのは、米国版である。

ストーリーは、以下のようなものになる。主人公のマイルスは、カリフォルニア州ロサンゼルスに暮らす高校教師で、国語を教えている。長らく小説家志望だが、芽が出ない。マイルスの親友のジャックは、二流の俳優をしていて、近々素敵な彼女と結婚する予定だ。

マイルスは、大のワインオタクである。それでマイルスは、ジャックの独身生活最後のお楽しみとして、この親友とふたりで野郎旅行にでかける。目指すはロスから車で2時間ほどの距離にある、ピノ・ノワールで有名なワインカントリーのサンタ・バーバラ郡だ。

ワイナリー訪問を重ねるうちに、ふたりはマヤとステファニーという魅力的な女性たちと知り合う。一緒に旅をすることになった4人だが、好色なジャックはステファニーにさっそく手を出して……

笑いあり、ほろりとさせるところありの、秀逸なロードムービーで、こちらもVol.1同様に、ワインのことをなーんにも知らなくても充分に楽しめる作品である。

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