ソムリエ近藤佑哉さんが提案する「ワインで晩ごはん」 Vol.1 夏はカレー!

毎日の家ごはんも、料理に合うワインがあれば、おいしさも楽しさも格別にアップします。以前掲載した近藤佑哉ソムリエのペアリングの記事が好評につき、連載として再登場。フレンチメゾンにいながらあらゆるペアリングに精通する近藤ソムリエが、定番の家庭料理とアクセスしやすいワインで日々のペアリングを提案します。テーマの料理のエピソードを綴る直筆コラムも必見、今回は“まかないカレー” の思い出を語ってくれました。

文/谷 宏美


【目次】

1. 近藤ソムリエの直筆コラム「土曜日はカレーの日」
2. ペアリング その1:濃厚リッチなバターチキンカレー
3. ペアリング その2:ココナッツ風味のグリーンカレー
4. ペアリング その3:ニッポンのカレーライス



本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。

1. 近藤ソムリエの直筆コラム

「土曜日はカレーの日」。

レストランの新入社員のころ、土曜日のまかないは必ずカレーでした。毎日を忙しく過ごしているとその日が何日の何曜日だなんてことを忘れてしまい、「あっ、もう土曜日なんだ」とまかないのカレーで日付を思い出していました。

とある土曜日のまかないのとき、先輩ソムリエが、一緒に試飲をしようとデラウェアのワインを持ってきてくれました。まかないカレーを食べながらワインを飲んだときに、口の中いっぱいに広がった豊かな風味は忘れがたく、今でも鮮明にその感覚が蘇ります。

高級な料理とワインでなければペアリングが楽しめないなんてことはなく、日常の中に同じ感動はたくさん潜んでいます。皆さんもぜひ、毎日の食卓を通して、料理とワインが生む感動を探してみてください。

近藤 佑哉

 

世界各国の伝統料理を味わえる日本。中でもカレーのバリエーションは豊かで、お店でも家庭でもさまざまなタイプのカレーを楽しむことができます。1日1回はカレーを食べるという方もいるのではないでしょうか。しかし、スパイスによる辛さを伴うカレーは、ペアリングを考えるには悩ましい料理。そこで今回は近藤ソムリエに、

  • 濃厚なバターチキンカレー
  • タイ料理でおなじみのグリーンカレー
  • 日本の家庭の味であるカレーライス

の3種類のカレーにおすすめのワインをセレクトしていただきました。

 

2. ペアリング その1:濃厚リッチなバターチキンカレー

北インド発祥のバターチキンカレー。バターのコクとトマトソースの旨みたっぷりのリッチなソースを、ヨーグルトとスパイスに漬け込んだタンドリーチキンとともにいただく、濃厚な味わいのカレー。

【近藤ソムリエのペアリング】

 

▶︎ペアリングのポイント
「イチジクのチャツネやスイートスパイス、フェヌグリークの香り、口いっぱいにあふれる果実味とチューイーなタンニン。古木のジンファンデルを惜しみなく使ったジューシーでスパイシーなこのワインは、濃厚で多種のスパイスが層となったバターチキンカレーと見事に調和し、相性は抜群です。

近年、再び注目を集めているジンファンデル。ご家庭で品種を学び直すきっかけにもよいと思います」(近藤さん)

〔ワイン情報〕
造り手はクライン・セラーズの創業者のひとりであるマット・クライン。禁酒法時代に植えられた樹齢100年超の自根で灌漑なしのジンファンデルを主体にブレンド。生産量を度外視し、旨みや複雑味が出る古木を思い入れを持って使用する。フレンチ&アメリカンオーク (一部新樽) にて12カ月前後の熟成。アルコール度数は高いが突出することなく、タンニンや果実感のバランスのよい仕上がり。樹齢の古いブドウ樹の幹をモチーフにしたエチケットもカレー気分を盛り上げる。

オールドヴァインズ ジンファンデル コントラ・コスタ・カウンティ 2016
Old Vines Zinfandel Contra Costa County 2016
生産者: スリー Three
生産国/地域: USA/カリフォルニア
アペレーション: コントラ・コスタ・カウンティ
タイプ: 赤
品種 : ジンファンデル76%、カリニャン8%、プティ・シラー8%、アリカンテ・ブーシュ8%
アルコール度数:15.4%
価格 : ¥3,630


ワインスクール
アカデミー・デュ・ヴァン


はじめての方からワインの奥深さを追求される方まで、幅広く講座を開講しています。講師にはワイン業界をリードする現役のプロフェッショナルや、生産地から生産者をお迎えしています。

3. ペアリング その2:ココナッツ風味のグリーンカレー

エスニックフード好きにはおなじみのグリーンカレー。コリアンダーや青とうがらしなど緑色のハーブとスパイスたっぷりのペーストにココナッツミルクを加え、魚介やチキン、野菜を入れて煮込んだ、代表的なタイ料理です。風味豊かなペーストにマイルドなココナッツミルク、しっかりとした辛みは病みつきになりますね。

【近藤ソムリエのペアリング】

 


▶︎ペアリングのポイント
「ココナッツミルクの風味やスパイス、コリアンダーなどのハーブの香りが豊かなグリーンカレーには、温暖な地域で育ったヴィオニエがよく合います。オレンジブロッサムのフローラルな香りやネクタリンのようなストーンフルーツの果実味が豊富で、樽を使って仕上げたことによるクリーミーでボリューム感のあるテクスチャーと厚みのある味わいが、ココナッツミルクの柔和な風味を引き立たせてくれます。アルコール感もしっかりとあり、ホットなカレーにワインが負けることなく、最後まで楽しむことができる組み合わせです」(近藤さん)

〔ワイン情報〕
1983年にイスラエル北部のゴラン高原に創業したイスラエル最大規模の新興ワイナリー。最新鋭の技術を導入しつつ伝統製法も重視し、上質な造りに定評がある。このヴィオニエは仏オークとステンレスタンク半々で発酵、 シュールリーで4カ月熟成。

ヤルデン ヴィオニエ 2017
Yarden Viognier 2017
生産者: ゴランハイツワイナリー Golan Heights Winery
生産国: イスラエル
タイプ: 白
品種 : ヴィオニエ100%
アルコール度数:14.5%
価格 : ¥3,520

 

4. ペアリング その3:ニッポンのカレーライス


日本の国民食ともいえるカレーライス。牛肉や豚肉、にんじん、じゃがいも、玉ねぎを炒めて水を加えてコトコト、具材が柔らかくなったら、りんごとはちみつトロ〜リ溶けた市販のルーを加えるあれ。もちろん福神漬けとらっきょうは必須です。ノスタルジーにかられて、ときどき食べたくなりませんか? そんなカレーライスにだってワインを合わせたいですよね。

【近藤ソムリエのペアリング】

 

▶︎ペアリングのポイント
「老若男女、大人から子供まで皆が大好きなカレーライスには、日本のデラウェアを合わせてみましょう。フレッシュな果実味とブドウ本来がもつピュアな甘味、口中が爽快になるほどのみずみずしさは、あのホッとする味わいにピタッと寄り添い、懐かしさを噛み締めながらピースフルなマリアージュに浸ることができます。こういう時間があってよかった、と思わせてくれるワインです。5~7℃にしっかりと冷やしてお楽しみください。

アレンジとして、ご飯を酢飯にしてみるのもいいアイデア。カレーのコクに酢飯の甘酸っぱさが重なり、このワインとの相性がさらによくなるはず。暑いときでも食が進みますよ」(近藤さん)

〔ワイン情報〕
山梨県勝沼町産のデラウエア種を使用し、低温発酵で丁寧に醸造した、甘口のワイン。酸味と甘みが調和し、フルーツを使った料理やサンドイッチなど軽食にも合わせられる、食中酒としても知っておきたいワイン。

ルバイヤート デラウエア 2020
生産国/地域: 日本/山梨県・勝沼
生産者: 丸藤葡萄酒
品種 : デラウエア 100%
アルコール度数:8.5%
価格 : ¥1,430

>かつおのたたきや豚肉のしょうが焼きに合わせるワインはズバリこれ。
ソムリエ近藤佑哉さんが指南★家庭料理のペアリング2-way


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近藤 佑哉/Yuya Kondo

銀座レカン シェフソムリエ。1989年、兵庫県生まれ。2012年 大学卒業後、銀座レカン入社。その後ホテル ニュー・オータニ レストラン トゥールダルジャン東京を経て、2019年に銀座レカンに戻り、2020年4月より現職。
2019年 ポメリー ソムリエコンクール2019 優勝、 2019年 第3回ボルドー&ボルドー・シュペリウール ソムリエコンクール 優勝 、2020年 第9回全日本最優秀ソムリエコンクール 第3位など、コンクール入賞歴多数。
J.S.A.認定ソムリエ、ASI International Sommelier Diploma(国際ソムリエ資格) 、CPAチーズ プロフェッショナル、Maître de Canardier(メートル ド カナルディエ)。

 

●筆者プロフィール
谷 宏美/Hiromi Tani

ワインライター/エディター。ファッション誌の美容エディターを経てフリーランスに。夫とやっているワインバーは禁酒法発令によりまたもや休業(2021年7月下旬執筆時)。肉体労働がないためエネルギー消費量が著しく減少、それによる体重増加と自暴自棄によるアルコール依存が目下の悩み。

 

ソムリエ近藤佑哉さんが指南★家庭料理のペアリング2-way

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