浅妻千映子の最新レストラン事情 Vol.26〜コロナ禍のレストラン

浅妻千映子,レストラン,トレンド,コロナ

コロナ禍のレストラン

春の自粛期間中、家に篭りながら、これから飲食店はどうなるだろうと考えていた。

夏以降、レストランに大分笑顔が戻ってきた時、多くのシェフたちから「近くに住んでいる人に救われた」という言葉を聞いた。

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もしこれから、飲食店をオープンさせたい人がいたら、まずは住人の多い町を勧めたい。

もっといえば、バゲットやクロワッサンの美味しいパン屋さんと、手土産にもできるおいしいお菓子を売っているパティスリーがあって、それがきちんと成り立っているエリア。

食に対する意識の高い人が多く住んでいる証だと思うからだ。

 

コロナ禍で働き方も変わった。家にいる時間が増えた人が多いと思う。

町のレストランではぜひ、物販をして欲しいところだ。

テイクアウトのお惣菜はもちろんのこと、いつものスーパーでは見かけない「ちょっと高いけど、ちょっといいもの」が売っていると、外食に慣れていた人も食指が動くだろう。

おいしい野菜もいいかもしれない。

他にも、お店で作った気取らない焼き菓子だったり、デイリーなおいしいワインが売っていたりすれば、こんなに嬉しいことはない。

 

そうして、「あそこに立ち寄るとおいしいものに出会えて楽しい」という店になったなら、食事に来る人とはまた別の常連客ができそうだ。

立ち寄った時に、ちょっと一杯コーヒーが飲めたり、店で買ったものを使った献立の相談ができたりしたら、もう完璧だろう。

ランチ営業はしていなくてもいいと思うが、欲を言えば、気軽なワンプレートランチなんかがあるとなお嬉しい。

テレワークの息抜きもできるというものだ。

 

そんな理想を勝手に思い描きながら過ごした数ヶ月。

最近、仕事仲間に「面白い店ができたので行きませんか」とお誘いを受けた。

場所は学芸大学。近辺に「リ・カーリカ」「カーリカ・リ」「あつあつ リ・カーリカ」という3店舗を経営するグループが出した4店目だという。

ご存知の方も多いと思うが、既存の3店はいずれも人気のカジュアルイタリアン。

イタリアのナチュールワインも多数揃えている。その4店目となれば、やはりこなれたイタリアンだろうか。ワインの充実も期待できそう。

 

そんな思いで、楽しみに訪れた新店「リ・カーリカ ランド」は、なんと、私の思い描くコロナ後の理想のレストランが、ほぼそのまま形になった店だったのだ。

ダイニングは、巨大なテーブルが一つ。10人以上が余裕を持って座れるだろうか。

訪れたのは夜だったが、コンセプトは「食べられるバー」。

といっても、かなり料理は充実している。

イタリアンの枠から飛び出た料理も多い。焼いた肉や魚はないけれど、工夫を凝らしたブルスケッタや、締めのご飯ものもある。

切り立ての生ハムが驚くほど美味しかった。

少し前に雑誌の生ハム特集で、切り立ての生ハムが美味しい店を食べ歩いた私が感動したのだから、これは本物。

いずれにしても、純粋に「おいしくて気の利いた楽しい店」として、誰かに伝えたくなる店だ。

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加えて、朝から営業していると言う。

昼前まではお粥を、昼はカレーを出している。

どちらも当たり前のものではなく、たとえばお粥には和洋たくさんの小さな具や、生ハムまでついてくる。

熱いところにのせると脂がとけて香りが立ち上る。

昼のスパイシーなカレーは発酵食品をたくさん取り込んでおり、健康への気遣いが感じられる。

 

ダイニングの横には、食生活をワンランク上げてくれる物販が。レストランで出している食材や、調味料、12月からはワインも取り扱うと話していたので、そろそろだろう。

お得意はイタリアのナチュールだ。その他、自家製惣菜も出てくると言っていた。

切り立ての生ハムも売ってとリクエストしておいたので、もしかしたらそれも始まるかもしれない。

 

近所にあったらいいなと思う店は多いが、その中でもここは筆頭。近くにお住まいの方はぜひ。

長くなるので詳しくは割愛するが、実はこの店、店側からすると、働き方改革への第一歩でもあるそうだ。

もろもろ、飲食関係の方も、訪れたら何か参考になることがあるかもしれないと思う。

 

■リ・カーリカ ランド:https://tabacchi.co.jp/ri-carica-land

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2020.12.04


浅妻千映子 Chieko Asazuma

J.S.A.認定ワインエキスパート。
1972年東京生まれ。聖心女子大卒、大手建設会社で3年間のOL生活ののち、フードライターに。
著書に『食べたきゃ探そう』(時事通信社)、『東京広尾 アロマフレスカの厨房から』『パティシエ世界一』『江戸前「握り」』(すべて光文社)。『東京最高のレストラン』(ぴあ)採点者としても活躍。パティシエをテーマにしたマンガ『キングスウヰーツ』(全5巻 小学館)の原案を担当。近年は『dancyu』などの媒体でもレシピを公開。人気サイト「All About」でプラチナレシピのガイドも担当している。

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