台木と自根、どっちが優れているのか / リケジョが行く!ワインを科学で考えるコラム Vol.4

19世紀後半にヨーロッパで猛威を振るったフィロキセラの影響で、ヨーロッパのほとんどの畑はアメリカ系の台木を接がなくてはならなくなったことは、読者の皆さんもご存知の通りです。一方で、そんなフィロキセラの被害を免れた地域では、今でも接ぎ木をしない、自根のブドウからワインを作っています。マーケティング戦略として「自根のブドウで作った!!」と強調しているものも多くみられますが、そもそも、自根だから必ずいいブドウができるのでしょうか。

文/小原 陽子


【目次】


台木=アメリカ系、だけではない

オーストラリアで最も有名な育苗所のひとつ、ヤルンバ・ワイナリーの接ぎ木苗 撮影/筆者

ワインを勉強していても、台木の具体的な情報には、熱意をもって調べない限り接することはないでしょう。そのため多くの方は、台木とは「アメリカ系のブドウ」というざっくりとした理解をしているのではないでしょうか。しかし、実際には「アメリカ系のブドウ」という単一のブドウなどは存在しません。現場では様々な系統の様々な品種が入手可能で、それらを目的に応じて使い分けているのが実情です。本エッセイではその概要をご説明しながら、接ぎ木の意味、そして自根だから良いのかどうかについて考察してみたいと思います。

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