伊東道生の『<頭>で飲むワイン』Vol.117

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~シャンパーニュとともに最後のご挨拶~

今回は、今年度最後で、またコラムとしても今回で終了となります。長らくありがとうございました。

前回、通知いたしましたが、RVF誌のシャンパーニュの記事がなんとか間に合いましたので、それをご紹介します。

その前に・・・このコロナ禍でネット販売が盛んになっていますが、あのトゥール・ダルジャンも本腰をいれているようです。32万本のストック!を管理するのは10人のソムリエ・カーヴ管理者。Clos de Tart 1996(600ユーロ)という単体ものから、

  • Domaine des Comtes Lafon, Meursault 1er cru, Charmes 2003
  • Domaine Denis Mortet, Gevrey Chambertin, Vieilles Vignes 2009
  • Domaine Ponsot, Clos de La Roche, Grand Cru, Vieilles Vignes 2008

という豪華3本セット(500ユーロ)。また

 

  • Tour d’Argent Champagne, Cuvee Cathelin 1996
  • Chateau Leoville Barton, Saint-Julien, 2006
  • Domaine du Vieux Telegraphe, Chateauneuf-du-Pape 2008
  • Domaine Henri Gouges, Nuits-Saint-Georges 1er cru
  • Clos des Porrets Saint Georges 2009
  • Domaine Jean Grivot, Vosne-Romanee, Bossieres 2013 
  • Domaine des Comtes Lafon, Meursault 1er cru, Charmes 2002

という6本セット(同じく500ユーロ)など。割安とまではいかないですが、良心的なお値段です。 フランスにいれば…

 

それではシャンパーニュの紹介です。今回は2004年から2016年のミレジメ・シャンパーニュ特集です。シャンパーニュの昨今の状勢について、少々面白い記事が前置きについています。

まずシャンパーニュの 「bourgognisation」 つまりクリマをモデルにした「ブルゴーニュ化」ということが、特にランスやアイで言われています。たしかにシャンパーニュにもやたらテロワールが持ち上げられるのも最近の流行。アッサンブラージュの妙というのは、たしかになかなか評価が難しいし、それが消費者にどうアピールするか、というのも難しいですね。

もう一つはドザージュの問題。これも一桁以下がスタンダードになってしまっていますが、保存のためにはある程度のドザージュも必要。

20グラムとは言わないまでも、戦前の1914、1928年の12グラムというのも一考に値する、という指摘です。個人的にもこれはうなずけます。経験からいうと、後はコルクの質ですね。レコルタンのシャンパーニュは往々にして、コルクにまで手が回らないのか、長期保存に耐えない貧弱なものも多いです。ただ、こればかりは抜栓してみないとわかりません。コルク情報などもあればいいのですが。

 

さて、2004年から2016年の一般的評価をあわせたお薦めです。

 

2004 ☆☆☆ 洗練されているが、飲み頃。20年以内に。

Gosset Celebris 2004 を最近飲みましたが、たしかに優雅で、過度の強さもありませんでした。ただ、これ以上、保持することで、さらに開花するかと言われると難しい。もう早めに飲んでいいでしょう。ただ雑誌で取り上げられているBruno Paillard Extra-brut Nec Plus Ultra(95点)などは、もう少し持つかもしれません。

 

2005 ☆☆  この年のものは、すぐ飲むべき

 

2006 ☆☆☆  飲み頃だが、後5年は期待できる。

Krug 2006(96点)、Francoise Bedel Extra-brut L’Ame de la Terre (94点)。

 

2007 ☆☆☆  同じ星三つですが、この年のものはまだ15年はもつ。

Cote des Blancs のシャルドネが素晴らしかった。あまりお高くないものを選ぶと、Gonet-Medeville Extra-brut (94点)、Alfred Gratien Brut (93点)、Apollonius Brut Les Grands Nots (92点)

 

2008 ☆☆☆☆  長期保存可能なグラン・ミレジメ。

アカデミー・デュ・ヴァンで買えるはずの?Pascal Doquet Extra-brut Grand cru Blanc de Blancs Le Menil-sur-Oger (97点)と1er cru Vertus(95点)。Veuve Fourny & Fils 1er cru (95点)、Laurent Perrier (92点)

 

2009 ☆☆☆(☆)  20年以上保存可。

Fleury Bolero (94点)、Drappier Sendree (93点)、Franck Pascal Quintessence (93点)、Gaston Chiquet (92点)

 

2010 ☆☆

 

2011 ☆ 両年ともにすぐ飲むべし。

アペリティフに。Diebolt Vallois 2010 (94点) Dehours (92点)

 

2012 ☆☆☆☆☆ さすがにこの年のシャンパーニュは高い。

そのなかで Gosset (94点)、Larmandier-Bernier (94点)、Philipponnat Blanc de blancs (94点) Delamotte (93点)、AR Lenoble Blanc de Blancs(93点)

 

2013 ☆☆☆☆ 2012年から2015年までは素晴らしい年が続きます。長期保存可。

Eric Rodez Les GenettesとLes Beurys Maceration rose ともに95点。AR Lenoble Blanc de Noirs Bisseuil (94点)、Veuve Fourny Blanc de Blancs Monts de Vertus (94点)

 

2014 ☆☆☆☆(☆) 20年以上の保存可。

Benoit Lahaye (95点)、Pierre Peters Brut L’Esprit (95点)、Laherte Freres Empreintes (93点)

 

2015 ☆☆ 5年以内には飲むべし。

Benoit Lahaye Volaine (94点) 、Laherte Freres Les Grandes Crayeres (93点)、Pierre Bailette Blan de noiras (92点)

 

2016 ☆☆☆(☆) 2022年頃から飲み頃、15年以内に。

R.Pouillon et Fils Le Montgruguet(94点)、Christian Gosset Loiselu(93点)

 

最初にシャンパーニュの「ブルゴーニュ化」と書きましたが、お値段を見るとシャンパーニュはかなりコスパがいいですね。けっしてお値段の「ブルゴーニュ化」にはなりませんように。

最後に。

本当に長い間、ありがとうございました。再びどこかでお目にかかれることを。

Au revoir !2020.12.25


伊東道生 Michio Ito

東京農工大学工学研究院言語文化科学部門教授。名古屋生まれ。
高校時代から上方落語をはじめとする関西文化にあこがれ、大学時代は大阪で学び、後に『大阪の表現力』(パルコ出版)を出版。哲学を専門としながらも、大学では、教養科目としてドイツ語のほかフランス語の授業を行うことも。
ワインの知識を活かして『ワイナート』誌に「味は美を語れるか」を連載。美学の視点からワイン批評に切り込んでいる。

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