高橋佳子のセンス・オブ・プレイス vol.8〜ナイアガラ・ペニンシュラ

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ナイアガラ・ペニンシュラ

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高橋佳子のセンス・オブ・プレイス vol.8〜ナイアガラ・ペニンシュラ

今回は、カナダワイン2大産地のひとつ、オンタリオ州のナイアガラ・ペニンシュラをご紹介しましょう。

ちょうど、今日はバレンタインデーですね。

ワイン好きのパートナーに、デザートワインをプレゼントした経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

カナダというとアイスワインが有名で、その生産量は世界No.1。

「カナダ国内のブドウ栽培地域で自然に凍結したブドウだけから生産しなければならない」「収穫は気温がマイナス8℃以下で行わなければならない」といった厳格な生産規定が国家として定められています。

主に「ヴィダル(Vidal)」という耐寒性に優れたハイブリット品種が使用されますが、その他の品種からも造られます。

以前、ナイアガラ・ペニンシュラの造り手を訪問した時のこと。テイスティングの最後に、カベルネ・フランで造った赤いアイスワインを試飲したのですが、グラスの代わりに上質なダークチョコレートでできた一口サイズの小さなカップに注いで頂いたことがあります。

腰が抜けるほど、センセーショナルな経験でした。(注;絶対に吐き出すことなんて不可能ですので、ドライバーは手を出してはいけません)

オンタリオ州はアイスワインの最大の輸出量を誇りますが、それでもワイン生産量全体の中でアイスワインが占める割合はごく一部。

実は、ここでお伝えしたいセンス・オブ・プレイスは、アイスワインが生産可能な自然要因がある一方で、多様なスタイルのワインが造られるというこの産地の特異さです。

内陸にあるワイン産地では大きな水塊、この場合、五大湖のひとつオンタリオ湖がブドウ栽培において大きな役割を果たします。

「Lake Effect=湖の効果」と表現され、冬の厳しい寒さが緩和されつつ、ブドウの生育期の気温は穏やかに推移します。

ナイアガラ・ペニンシュラのブドウ栽培面積は5,500ha(=メドックAOCに相当)、この小さなエリアに46品種が栽培されていて、全部で10のサブリージョンに分類されています。

例えば、ボルドーで穏やかな秋にゆっくりと成熟していくカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロといったフルボディの赤ワインになる品種から、シャルドネやピノ・ノワールのような比較的冷涼な気候を好むブルゴーニュの品種、それらから造られる本格的なスパークリングワイン、ドイツのような冷涼な気候で繊細な風味を発達させるリースリング、そしてシーズンの終わりに訪れる寒波によって自然に凍ったブドウを収穫して造られるアイスワイン、という具合に、ひとつのワイン産地からヨーロッパ全体を網羅できるほどの多様なワインスタイルが生産されているのです。

栽培可能品種や生産方法がワイン法で厳格に定められている伝統的な産地と異なり、自由なワイン造りが可能な新世界ワイン産地ならではの特性でもありますが、温暖で乾燥した地中海性気候の産地が大部分を占める新世界ワイン地図を見渡しても、これほど多様性に満ちた産地は珍しいでしょう。そんな環境に魅了されてフランスから移住し、ワイン造りを行っているワインメーカーもひとりやふたりではありません。

真冬を除いてはとても穏やかな気候で、ワイナリー観光がとても盛んです。

世界三大滝のひとつ「ナイアガラの滝」も近く、最寄りの主要都市であるトロントまでは日本から直行便が就航していますので、ワイン産地旅に大変オススメです!

是非一度訪れて、このユニークなナイアガラ・ペニンシュラのセンス・オブ・プレイスを体験してみて下さい。

2020.02.14


高橋佳子 Yoshiko Takahashi

JSA認定ソムリエ、SAKE DIPLOMA
WSET® Level4 Diploma in Wines and Spirits
A+オーストラリアワイン・トレード・スペシャリスト
ワインサービス、インポーター、卸、と多角的にワイン業界に携わった経験と、オーストラリアの生産者の元で学んだ経験を活かし、フリーランスでワインコンサルタントとして活動中。
ワインで繋がるご縁を大切に、自然体なライフスタイルに寄り添ったワインの魅力を伝えていきたいと思っています。

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