藤巻ファンを焦らしているわけでも、Sっ気があるわけでもない(たぶん)のだが、今回のテーマはボルドー。だって、藤巻さんの「飲み頃」に対しての考察、知りたくないですか? 知りたいですよね? というわけで連載3回目はボルドー、裏テーマは「熟成」です……。
文・写真/谷 宏美
ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。
【目次】
1. ボルドーに始まるワイン人生
2. オールドヴィンテージの魅力とは
3. 1982ヴィンテージとパーカーポイント
4. 今回のお宝ワイン
1. ボルドーに始まるワイン人生
栽培面積や生産量、歴史に裏打ちされたクオリティ。名声はブルゴーニュと二分するものの、ボルドーは昔も今も、巨人のごとく君臨する銘醸地。蒐集欲を満たす格付けという制度や生産本数の多さ、グランヴァンにスゴンヴァンというレンジのシンプルさも手伝って、ワインの沼にハマった入り口はボルドーだったという人も多いだろう。学生の時分よりワインに傾倒していた藤巻氏も、「最初に出合ったワインはボルドー」だという。コレはスゴイと思うワインに出合ったという意味で、である。
「記憶にあるのはほどよく熟成したムートンかな、うわうまいと思ったのは。ただの若者だった自分がふと平日にマルゴーを比較試飲したくなって、89と90をね、ひとりで開けたりとか。当時は1万円もしなかったんじゃないかな。たまたまそういう時代からワインを飲んでいただけですけどね」。やはり5大シャトーですね……。「ええ、僕が20代のころは、5大シャトー&シュヴァル・ブラン、といった水平テイスティングの会がよく開催されてたんですよ、愛好家向けに」と淡々と語る。「そこで残してる人とかいて、なんてもったいないんだと驚いたりしてましたけど」。