長くて深いワインの歴史とは?

ワインの歴史

初めてワインが生まれたのは何年前のことだと思いますか?

その歴史は非常に長く、紀元前8,000年の頃に幕を開けました。

最初は人間の手を介さず、ブドウが自然に発酵したものを飲んでいましたが、紀元前7,000年〜紀元前5,000年頃には意図してワインを造るようになります。

ワインを深く知るため、ワインが生まれたときから現在に至るまでの歴史を学んでいきましょう。


【目次】

■ワインの登場

■ヨーロッパでのワイン造りの始まり

■中世~近世

■近世~現代

■日本ワインの歴史



本記事は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が監修しています。ワインを通じて人生が豊かになるよう、ワインのコラムをお届けしています。メールマガジン登録で最新の有料記事が無料で閲覧できます。

 

 

では、ワインの歴史を上の目次に沿って説明します。

ワインの登場

ワインの歴史

ワインの歴史は非常に長く、その始まりは紀元前にまで遡ります。紀元前8,000年頃にワインが登場しました。

極端なことを言うと、ワインは人間が手を加えなくてもブドウを置いておけば自然とできるものですから、ワインが生まれたのも不思議ではありません。

それに類人猿には自然に発酵している果実を探し求める性質があったということから考えても、ワインが生まれたことや、発酵したワインを人間が飲むようになったことはすべて自然な流れだったと言うことができるでしょう。

その後、ワインは人間が意図して造るようになります。

紀元前7,000年~紀元前6,000年頃の古代メソポタミアで、ワイン生産を目的としたブドウ栽培が始まりました。

ギリシャやエジプトなど地中海沿岸の諸国に伝わり、やがてワイン造りの中心は、ご存知のようにヨーロッパに移っていくことになったのです。

ワインに関する最古の記録としては、紀元前2,500年頃にシュメール人によって書き残された「ギルガメッシュ叙事詩」が文献として残っています。

また、旧約聖書には箱船で知られるノアが、世界で初めてブドウを植えてワインを造ったという記述があります。

ヨーロッパでのワイン造りの始まり

ワインの伝播

古代メソポタミアで始まったワイン造りがヨーロッパに伝わるのは紀元前1,000年頃のこと。

最初はギリシャにワイン造りが伝播し、盛んにブドウ栽培やワイン生産が行われました。

ギリシャ人がワインを重要視していたことは、酒の神ディオニソスが高い神格を持ち崇拝されていたことからも伺えます。

ギリシャの都市国家の市民たちは、毎晩酒宴(シュンポシオン)を開き、水で割ったワインを飲み交わしながら学問・芸術の議論をしました。

ちなみに、これが「シンポジウム」の語源となっています。

ワイン造りはその後、ギリシャからイタリア半島に伝わり、紀元前8世紀に建国されたローマ帝国でワイン生産が栄えていきます。

紀元前1世紀にはローマ帝国が領土拡大のため、北に向かって進軍しました。

その際に、ワイン造りがフランスドイツなどに広がっていくことになります。

中世~近世

中世から近世にかけて、ワインの品質向上と地理的拡大に大きな役割を担ったのが、修道院などキリスト教関連勢力です。

これには新約聖書に書かれているイエス・キリストの行動や言動に関係があります。

イエス・キリストはパンが自分の(イエスの)体で、ワインが自分の血であると言って弟子にパンとワインを勧めたとされています。

そうした歴史があって、ミサなどの儀式でパンとワインを供え物にしたり食事としたりするようになり、キリスト教徒はワイン生産に力を注ぎ始めます。

8世紀末から9世紀初頭にかけて、西ローマ皇帝にまでなったフランク王国のカール大帝が、キリスト教とワイン造りを奨励します。

それ以降は修道院などがワイン造りの重要な担い手になり、いつしか高品質なワインを生むブドウ畑を所有することが、権力者にとって需要なステイタスとなっていきました。

15世紀末以降の大航海時代にはキリスト教徒が南米、北米、南アフリカ、オーストラリアに移民しますが、その際に新天地でミサ用としてワイン造りをします。

そうしてワイン造りが地理的拡大をし、生産地を広めます。

17世紀末にはガラス瓶コルク栓が使われるようになり、その結果、長期間の貯蔵・熟成が可能になりました。


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近世~現代

19世紀後半にはワイン生産は苦難の時期を迎えます。

ヨーロッパにはウドンコ病寄生虫フィロキセラといった病虫害がアメリカ大陸から入ってきます。

ウドンコ病は農薬を使うなどして対応できましたが、ブドウの木の根に寄生するフィロキセラは駆除が難しく、ヨーロッパ中のブドウ畑の3分の1を枯らせてしまいます。

一時ワイン生産は危機を迎えることになりますが、接ぎ木という栽培方法を使うことによってフィロキセラの猛威を回避できるようになりました。

詳しくは「フィロキセラとは?ワインを襲う外注とその対策」をご参照ください。

フィロキセラとは?ワインを襲う害虫とその対策

20世紀前半に至ると、フランスを筆頭にヨーロッパ各国でワイン法が整備されていきます。

20世紀後半には生産技術が急激に進歩し、ワインの品質水準が飛躍的に高まり、現在に至ります。

日本ワインの歴史

日本ワインの歴史はヨーロッパと比べるとまだまだ浅く、始まりは19世紀後半です。

1874年に山田宥教と詫間憲久がワインの醸造を始めました。

1877年には土屋龍憲と高野正誠がフランスでワインを学び、帰国後には宮崎光太郎を加えた3人で日本初国産のワイン会社「大日本山梨葡萄酒会社」を立ち上げます。

その後、1964年の東京オリンピックをきっかけとしてワインが認知されるようになり、第二次世界大戦の終戦前後にはワインの消費が広がりました。

その後日本ではワインブームが続きます。

<日本でのワインブーム>

  1. 1978年 千円ワイン・ブーム
  2. 1981年 一升瓶ワイン・ブーム
  3. 1987年 ボージョレ・ヌーヴォー・ブーム
  4. 1997年 赤ワイン・ブーム

当初は品質の高いワインは造れませんでしたが、現在では日本にもワインのコンクールが開催されるようになったり、日本のワインが海外のコンクールで受賞したりするなど、品質の良いワインが造られています。


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まとめ

今回は、ワインの歴史について見てきました。

ワインの歴史は長く、始まりは紀元前8,000年です。

そこから約1万年をかけてワイン生産の技術と品質を向上させ、現在はおいしいワインを飲むことができるようになっています。

ワインに情熱を傾けてきた生産者の努力に感謝をしながらも、おいしいワインを楽しく味わっていきましょう。

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