コルテーゼとは? ~北イタリアの爽やか白ワイン!特徴からおすすめまで徹底解説

コルテーゼ種のぶどう

イタリアの白ワインで、一般的に広く知られているのは、先ずはピノ・グリ―ジョ。そして、ガルガーネガを使ったソアーヴェと、今回のテーマのブドウ品種コルテーゼを使ったガヴィでしょう。

とは言うもの、実際に栽培面積を見てみると、カタラット・ビアンコ、トレッビアーノ・トスカーナ、シャルドネ、グレラ、ピノ・グリ―ジョが第一集団。ピエモンテ州のコルテーゼ、ヴェネト州のガルガーネガは、上位に入っていません。更に、コルテーゼは、2016年の統計で、ガルガーネガの約3分の1の栽培面積。大分、水をあけられています。今回は、この白ブドウ品種、コルテーゼに注目。ちょっと深堀してみましょう。

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【目次】
1. コルテーゼの特徴を探る
2. コルテーゼでおさえておくのはガヴィだけでOK!
3. 飲んでみたい有名生産者のコルテーゼワイン
4. 移り変わるガヴィの人気
5. コルテーゼの産地を挙げた取り組み
6. コルテーゼのまとめ


1. コルテーゼの特徴を探る

このブドウの栽培は、イタリアに限られていると言って良く、その内9割までがピエモンテ州に集中しています。2010年に2千6百ヘクタールだった栽培面積は、2016年には2千4百ヘクタール。2000年をピークにほぼ横ばい傾向です。その内、ガヴィが千5百ヘクタール程度を占めています。

残りは、ヴェネト州とロンバルディア州でも植栽されていますが、品質の良いワインは、ピエモンテ州、それもやはり、南東部のガヴィDOCGを押さえておけば良いでしょう。

樹勢は強くて、多産です。このため、収量を制御しないで大量生産をしてしまうと、シャバシャバの素っ気ないワインになってしまいます。ガヴィの原産地呼称上の規則では、ヘクタール当たり、9.5トンを超えてはいけないことになっています。ワインの生産量で言えば、通常、ヘクタール当たり66.5ヘクトリットルですが、リゼルヴァでは、45.5ヘクトリットルまで落とします。

植栽密度は、比較的高めの、ヘクタール当たり最低3,300本から5,000本程度。垣根仕立てで、樹勢を制御しながら凝縮度を保ったワインを造ります。比較的、病害には耐性がありますが、果皮は薄く、うどん粉病や灰色かび病には掛かりやすいとも言われています。芽吹きと成熟は中庸。クローンには、VCR264, 265やR2, R3などが有り、一部の台木では活着の不具合などの親和性の問題が出ることもあります。

高い酸が、このワインの強みでもあり、弱みでもあります。寒いヴィンテージでは、この高い酸とバランスを取る為に、糖度の補強が必要。濃縮ぶどう搾汁を、果汁に添加することも。他方、白ワインやスパークリングワインの清涼感には、高い酸が大いに貢献してくるのです。

ワイン造りは、総じてステンレスタンクを使った嫌気的な醸造及び熟成が主流です。その一方で、野生酵母を使い、樽発酵や樽熟成も取り入れ、澱との接触も行って、厚みのある口当たりや複雑性を狙う生産者もいます。

また、高い酸を和らげる為に、マロラクティック発酵を行う場合もありますし、止めて、特徴である酸を際立たせることもあります。カジュアル、ニュートラルで、食事の邪魔をせず、きびきびとした高い酸に恵まれたワイン。その一方で、柑橘系の果実だけでなく、熟した桃などの有核果実にフローラルな香りを伴って、ボディもしっかりした、高級キュヴェも。実は幅広いスタイルがあるのです。

2,000円前後のカジュアルなラインと、5,000円前後からそれ以上の高級ゾーンでは、だいぶ味わいも異なってくるので、しっかりお目当てのスタイルを考えてワイン選びをしたいものです。

2. コルテーゼでおさえておくのはガヴィだけでOK!

モンフェラートの丘

ピエモンテ州の、アスティ県とアレッサンドリア県にまたがるモンフェラートの丘。アスティからアレッサンドリアの街の南部に広がる地域で、コルテーゼのワインが造られています。ガヴィDOCGはこの広い産地の一部です。

他に、コルテーゼ・デル・アルト・モンフェッラートDOCもこの産地の一つ。でも、DOCGの厳しい規則を守っているガヴィとは異なり、コルテーゼ使用率は、ガヴィの100%より緩やかで、85%で大丈夫。収量制限も、ヘクタール当たり10トンと幾分緩やかです。

コッリ・トルトネージDOCでも、コルテーゼは使われていますが、品質的にはガヴィには届きません。近年、この産地では、コルテーゼよりも、果実感豊富で酸や旨苦みにも恵まれたティモラッソの方が注目を集めています。

ピエモンテ州以外の産地を挙げると、ひとつは、ロンバルディア州の、オルトレポ・パヴェーゼ・コルテーゼDOC。そして、ヴェネト州では、ロンバルディア州との州境のガルダ湖の東側のガルダ・コルテーゼDOC。でも、オルトレポ・パヴェーゼと言えば、ピノ・ノワールを使った伝統製法のスパークリングが何より有名。ガルダは、ピノ・グリ―ジョ、シャルドネ、ガルガーネガが白ブドウ生産の中心です。

というわけで、ガヴィをおさえておけば、コルテーゼのワインは大丈夫です。ガヴィは、1974年からDOCでしたが、1998年にはDOCGに昇格しました。赤ワイン中心のピエモンテ州には珍しい、白ワインのみがDOCGに認められた産地です。

通常のスティルワインの他リゼルヴァ、微発泡のフリッツァンテ、スパークリング、そして、伝統製法スパークリングのリゼルヴァの5種類のスタイルが認められています。リゼルヴァは収量の他にも、1年間の熟成義務や単一畑のブドウに使用といった制限が加わります。

リグーリア海まで、約30キロ。お隣のリグーリア州の州都ジェノヴァの方が、ピエモンテ州都のトリノよりも近いという立地条件にあります。中世からジェノヴァ共和国の影響を色濃く受けてきたのも頷けます。州西部のバローロやバルバレスコと言った著名な赤ワイン産地とは異なる発展。海に面したジェノヴァ共和国の海産物に相性の良い、白ワインの生産が中心になったのです。

世界のワイン産地を旅してみると、ブドウ栽培に適した気候の産地が多く、厳しい気象環境の日本と比べて羨ましいと感じることも多いもの。ガヴィでも、冬こそ寒さは厳しいものの、夏は太陽が贅沢に降り注ぎます。リグーリア海や、リグーリアン・アペニン山脈の影響で、温和な大陸性の気候。ブドウ栽培には恵まれた環境です。

日本の勝沼と比較すると、年間日照時間は2割増し。特に、結実、ヴェレゾンから収穫に至る時期の日照量は、2倍前後。果実の成熟にはとても良い環境です。年間降雨量は大きく変わらないのですが、夏場の雨量差は大きいものがあります。ガヴィの7月の雨量は、平均40ミリですが、勝沼では100ミリを優に超えてしまいます。

ガヴィの土壌は、北から南へと、移り変わっていきます。タッサローロ村やノーヴィ・リグーレ村の有る北部は、粘土質で鉄分を多く含むテッレ・ロッセの堆積土壌。ガヴィ村が立地する中部は、主としてテッレ・ビアンケの石灰質土壌や泥灰土、砂岩。南部は、泥灰土や粘土質でリグーリア・アペニン山脈に向かう、400メートル以上の標高の丘陵地帯が広がります。

3. 飲んでみたい有名生産者のコルテーゼワイン<

11のコミューンを有するガヴィDOCG。中でも知名度にも品質にも、最も定評があるのは、ガヴィ村のガヴィ。「ガヴィ・デル・コムーネ・ディ・ガヴィ」略して「ガヴィ・ディ・ガヴィ」です。

この中には、更に有名な地区やクリュの扱いを受けている地域があります。ロヴェレート地区はその筆頭。

この産地のブドウからワインを造る優良生産者には、ミケーレ・キアルロカステッラーリ・ベルガーリオ等が挙げられます。カステッラーリ・ベルガーリオは、近年は見かけることがなかなか無い、陰干ししたブドウを使った甘口デザートワイン、「ガヴィウム」も造っています。

ラ・ジュスティニアーナは、この地区の畑モンテソーラから造ったノストロ・ガヴィで、2010年の、ヴィーニ・ディターリアのトレビッキエリ(3グラス)の最高評価を得ました。ヴィーニ・ディターリアは、ガンベロ・ロッソ誌が年に一度発行する、イタリアで最も知られたワイン・ガイドです。

ヴィッラ・スパリーナは、モンテロトンドの畑で樹齢の高いブドウから、やはりトレビッキエリを受賞したガヴィを生み出し、瓶内二次発酵のスパークリングも生産。特徴のある形状のボトルは魅力的です。他にも、ガヴィ村では、ブローリアなど多くの素晴らしいワインを造る生産者が集まっています。

ガヴィ村の北に所在するタッサローロ村。粘土質で鉄分を多く含む土壌から、しっかりとしたボディを持つワインが産出されます。フォルナーチの畑から、カステッラーリ・ベルガーリオや、ミケーレ・キアルロが、中々手に入らないワインを造ります。特に、ミケーレ・キアルロのフォルナーチは伝説的。1998年から2012年迄の生産以降は、中断されていましたが、2019年ヴィンテージより再開。でも、ワインクラブのメンバーにしか手に入らないようです。

4. 移り変わるガヴィの人気

ピエモンテ州は、バローロ、バルバレスコで知られているように赤ワイン優勢の産地です。現在、コルテーゼを使った白ワインが生産されているガヴィでも、黒ブドウが多く栽培されていました。コルテーゼが歴史に現れるのは、17世紀。

お隣のジェノヴァ共和国で白ワインの需要が高かったことと、同共和国のジュスティニアーニ等の有力な一族が、ガヴィには、夏の避暑地として訪れて、栽培に拍車が掛かりました。単一ブドウ品種としてコルテーゼの栽培が意識されたのは、19世紀半ば。20世紀初頭には最大品種となりました。でも、この産地には古くからの歴史があります。

6世紀フランク王国の時代。オルレアン王クロドメールの娘、王女ガヴィアが身分の違う宮廷の衛兵を愛するも、許されずに駆け落ちをしました。その村が彼女の名前を冠してガヴィと呼ばれるようになったとも。そして、王女の礼儀正しさ、イタリア語の「Corteis」がコルテーゼというブドウの名前の起源になったという伝説が残っています。

本格的に、今日につながるガヴィの知名度が確立したのは、生産者ラ・スコルカのお蔭。中興の祖と言っても良いでしょう。

ソルダーティ家が所有するラ・スコルカが1969年にガヴィ・デイ・ガヴィ(Gavi dei Gavi®)という商標を登録したのは、ガヴィがDOCを取得するよりも前のこと。「ブラックレーベル」が代表銘柄です。当時の小説家で、大女優ソフィア・ローレンも起用した映画の監督まで務めていた著名人、マリオ・ソルダーティは、このソルダーティ一族でした。そして、米国でのラ・スコルカの知名度アップに協力。ガヴィ人気に拍車がかかって、イタリア国内のみならず、米国他の海外でも、知名度が高まり、1970年代に最盛期を迎えます。

しかし、1980年代には高収量が原因で、薄くて酸味が目立つワインが流通。人気が低下し、生産量も落ちました。また、ピエモンテ州内のアルネイスの伸長やティモラッソも知られるようになっていきます。更には、フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州での、グラヴネルやラディコンによる自然派ワインが頭。こうした時代の流れの中で、高級白ワインの選択に幅が出て、相対的にコルテーゼ人気に陰りが出ました。

幸いなことに、1990年代に活力が戻ってきます。一つの弾みになったのは、1990年後半から、ヴィッラ・スパリーナが収量を抑制し、バトナージュの採用などで複雑性を高めたリッチなスタイルでガヴィ再興を目指し、米国市場へも進出。ワイナリーに高級ホテルと、地中海料理レストランを開設。リゾート施設を備えたワイン・ツーリズムを紹介しました。同社は、2021年のワイン・エンスージアスト誌「ヨーロッパ・ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。

5. コルテーゼの産地を挙げた取り組み

イタリアは、世界でもスペイン、フランスに並ぶオーガニック栽培大国。栽培面積全体に占める割合で言えば、15%で、世界トップ。ガヴィでも、オーガニック、ビオディナミの栽培手法が大いに採用されています。被覆植物も盛んに取り入れられていて、ガヴィ原産地呼称保護協会も、生物多様性の保護に力を入れています。

オーガニック栽培で有名な生産者では、カステーロ・ディ・タッサローロ、ラ・ライア、ジョルダーノ・ロンバルドを挙げることができます。95の生産者から成る協同組合のプロドゥットーリ・デル・ガヴィも多くのオーガニック栽培生産者を擁しています。

病害対策の啓蒙活動にも注力しています。今、世界中で、ブドウの病害で大問題となっているものの一つに、エスカをはじめとした幹の病気があり、19世紀のフィロキセラ禍の再来とまで言われることがあります。また、ヨコバイの媒介で感染する、バクテリアによる病害のフラヴサンス・ドレも欧州では深刻な被害をもたらしています。

いずれも、根本的な対策は無いのが悩み。生産者は、対処療法的な対応が迫られています。ガヴィ原産地呼称保護協会は、広く生産者、地方自治体、国内外の研究者を招致して議論を促しています。さらには、栽培面積の拡大に歯止めを掛ける一方で、クローン選抜や精密ブドウ栽培、収量制限や野生酵母活用などにも尽力しています。

マーケティング活動に目を移しても、量より質をスローガンにした、盛大なテイスティング・イヴェントが、協会の主催で始まりました。2022年は、ローマを皮切りに、ガヴィの最大のマーケットであるロンドン、ニューヨークを。そして今年、2023年は、3月にミラノ、5月にロンドン、8月にニューヨークと、世界の大都市をツアーしていきます。

6. コルテーゼのまとめ

今回は、イタリアの代表的な白ワインのガヴィを中心に、白ブドウ品種コルテーゼを深堀しました。紆余曲折の歴史と共に、優れた生産者も頭に入りましたでしょうか?原産地呼称保護協会の働きかけも活発。マーケティング活動も功を奏して、更に知名度が向上するかもしれません。既に、手に入りにくい高級ワインも見受けられます。人気沸騰になってしまう前に、一度、カジュアルなスタイル、高級ラインもあわせて一度飲み比べしておきませんか。

コルテーゼ種のぶどう

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