ワイン・エキスパートの試験に出ない面白クイズvol.2〜ノーベル文学賞の授賞者編

ワイン・エキスパート、WSET、MWみたいなワイン系の難関資格試験に合格するには、いろんなことを覚えなきゃならない。このシリーズでは、受験勉強には何の役にも立たないし、知らなくてもなにも困らないけれど、誰かに話したくなる面白雑学系の知識をクイズ形式で紹介する。第2回目は「ノーベル文学賞の授賞者が関係したワイン」について。

文/葉山 考太郎


【目次】


問題1:小説の有名イントロ

日本の作品で一番有名なのが、夏目漱石の「吾輩は猫である。名前はまだない」。海外文学なら、アルベール・カミュの『異邦人(L’Étranger)』の「今日、ママンが死んだ (Aujourd’hui, maman est morte)」で決まり。「ママ」ではなく「ママン」としたところに翻訳家、窪田啓作の工夫があり、超有名イントロになった。ノーベル文学賞の受賞の決め手になった『異邦人』に登場する主人公の名前はどれ?

(1) ミュジニー
(2) シャンベルタン
(3) ポマール
(4) ヴォルネイ
(5) ムルソー

 

答え1:(5) ムルソー
日本の苗字は、多い順に、佐藤、鈴木、高橋、田中、渡辺、伊藤。一方、フランスのトップ6の苗字は、マルタン、ベルナール、デュボア、トマ、ロベール、リシャールの順。ちなみに、有名生産者のルロワは9位、モローは10位。

『異邦人』の主人公の名前、ムルソーは、スペルも高級白ワインで有名なムルソー村と同じで、苗字としては超級珍しい。ムルソー村の名前は、「Muris Saltus(「鼠の跳躍」の意)」に由来するそうなので、苗字なら「飛鼠さん」あたりの超珍名さん。こうなると、カミュは、銘醸地、ムルソー村を狙って主人公の名前にしたとしか思えない。

実は、カミュは、ワインに関係が深く、1913年11月7日、地中海に面したフランス領アルジェリアのモンドビ村の貧しい家庭に生まれる。父はフランスへ輸出するワインの生産会社、リコム社でブドウ畑に勤務。カミュは誕生からブドウに囲まれていたことになる。

カミュは、44歳の若さでノーベル文学賞を受賞し、賞金でプロヴァンスのルールマラン村に家を買う。ここでは、ACコート・デュ・リュベロン(赤、ロゼ、白がある)という「廉価版の一般消費用ワイン」を作る。この村に家を買ったのは、気候とワインが故郷のアルジェリアに似ていることと、ハワイの日系人のお墓が日本を向いているように、地中海の反対側に故郷があったためではないか。

事件が起きたのは1960年1月4日。大手出版社、ガリマール書店のミシェル・ガリマールの運転する車でパリに向かう。ブルゴーニュを北上し、ムルソー、ボーヌを抜け、パリまであと100km足らずのヴィルブレヴァンを走行中、タイヤがパンクし、道端のプラタナスに激突。助手席のカミュは即死する。享年46。カミュが直前の昼食で飲んだのはボージョレのフルーリー。カミュは、フルーリーにブーダン・ノワールを合わせた。

カミュの『異邦人』は全143ページの中編小説なので、ムルソーを飲みながら読むのに絶好。また、最愛の人のお誕生日に、ムルソー1本と『異邦人』を組み合わせてプレゼントするのもカッコいい。

 

問題2:ノーベル文学賞を受賞した唯一の政治家は?

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