デザートワイン(甘口ワイン)ってどんなワインのこと?

デザートワイン(甘口ワイン)ってどんなワインのこと?

よく耳にするのですが、「赤ワインや白ワインは分かるけれど、デザートワインがどんなワインか分からない」と言う方がいます。

位置付けとしてデザートワインとは甘口ワインのことを指しているので、デザートワインの中にも赤や白、ロゼがあるのです。

ここではそんなデザートワインについて、その概要や甘くするための方法、飲み方などをご説明しますので、改めてどういうものか認識しておきましょう。


【目次】

そもそもデザートワインって何?

甘口にするための2つのアプローチ

甘口ワインを安定させるには必要な処理が必要

デザートワインの飲み方

デザートワインの4つの種類


上の目次に沿って「デザートワイン」を説明します。

そもそもデザートワインって何?

デザートワインとは、一般的には甘口のワインのことを指します。
明確な基準は決められていないため、様々なワインが甘口ワインとされています。

例えば、低アルコールで軽快な中甘口ワインがあったり、濃厚な甘味を持ちながらアルコール度数の高い極甘口のワインなどがあったりします。

一口に甘口ワインと言っても違いが多くあるのです。

とはいえ、共通点もあります。
それはワインを造る際に甘くなるように工夫がなされているということです。

砂糖が今のように流通しておらず、甘いものがそれだけで貴重だったその昔、生産者は様々な工夫を凝らして甘口ワインを醸造してきました。

甘口にするための2つのアプローチ

甘口にするためには大きく2つのアプローチがあります。

1:果汁の糖度を上げる方法

甘口ワインにする方法の1つとして、使用するブドウ果汁の糖度を上げるというものがあります。

アルコール発酵ではブドウに含まれる糖分をアルコールに変えますが、そこで消化しきれないだけの糖分が果汁に含まれていれば発酵後のワインの糖度を上げることができるのです。

より詳しく説明すると、基本的にワインはアルコール度数が容量パーセントで15度前後になると発酵が止まります。

果汁の糖度が25度でアルコール度数が15度前後になりますから、果汁を25度よりも高い糖度を持つものにすることで甘口ワインを生み出すことができるというわけです。

ブドウの水分を蒸発させることによって、ブドウの成分が濃縮されて糖度の高い果汁を採取できるようになります。

2:アルコール発酵を途中で止める方法

アルコール発酵で、ブドウに含まれる糖分をアルコールに変えるというのは既にお伝えした通りです。

その発酵を途中で止めれば、ワインに残る糖分を増やすことができますよね。

この発酵を止めるというのが、甘口ワインを造るための2つ目のアプローチ方法となります。

アルコール発酵中のワインを、冷却したり二酸化硫黄を添加したりすれば発酵を止めることができます。

ドイツで造られる低アルコールの中甘口ワインの多くがこの製法を使っています。

甘口ワインを安定させるには必要な処理が必要

糖分の残っている甘口ワインは非常に不安定な状態となっています。

不安定というのは変化が起きやすい状態ということです。

例えば、糖分の残っているワインが瓶詰された際に、ワインの中に生きた酵母が残っていると、瓶内で再びアルコール発酵が始まってしまいます。

糖分がアルコールに変わり、その際に生じる炭酸ガスを含んだワインとなります。

当初予定していた味わいとは異なるものになってしまうリスクがあるのです。
また、酵母以外の微生物が糖分を分解して不快な風味を生み出すリスクもあります。

極甘口ワインであれば、高い残糖度が酵母の活動をある程度抑制してくれますが、糖度がそこまで達しない甘口ワインだと再発酵のリスクが格段に高くなります。

そのリスクを回避するために、非常に細かいフィルターに通して酵母などの微生物を完全に取り除いたり、再発酵防止の作用を持つ保存料のソルビン酸を添加したりしています。

このように、甘口ワインを安定させるには必要な処理が必要になるのです。

デザートワインの飲み方

デザートワインは、よく冷やして飲むのが一般的です。

産地や甘さの加減にもよりますが、7℃前後を目安にするとよいでしょう。

タイミングとしては、食後のデザートと一緒に、あるいはデザートの代わりとして飲んだり、食前に飲んだりすることもあります。

食前や食後に飲まれることが多いのが特徴です。
ですが、食事と一緒に飲むこともあります。

濃厚な食事には濃厚なデザートワインが合うこともあるのです。例えば、フォアグラやブルーチーズなどにはデザートワインが適しています。

デザートワインの4つの種類

様々なデザートワイン

様々なデザートワイン

デザートワインには「貴腐ワイン」、「アイスワイン」、「干しブドウワイン」、「遅摘みワイン」4つの種類があります。

貴腐ワイン

貴腐ワイン

貴腐ブドウ

貴腐ワインと呼ばれる極甘口ワインを造る際には、貴腐(ボトリティス・シネレア/Botrytis Cinerea)菌というカビの力を借りて育てた原料ブドウを用います。

カビ菌がブドウの果皮に無数の穴を開けるのですが、そこから中身の水分が蒸発して干しブドウのような状態になります。

こうして造られた貴腐ワインはただ甘いだけではなく、カビに由来する独特で複雑な風味を備えています。

世界三大貴腐ワインとして、以下の3つが有名です。

<世界三大貴腐ワイン>

  • フランスボルドー地方のソーテルヌ(Sauternes)
  • ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ(Trockenbeerenauslese)
  • ハンガリーのトカイ・エッセンシア(Tokaji Esszencia)

アイスワイン

アイスワイン用ブドウ

アイスワイン用ブドウ

アイスワインは、凍ってシャーベット状になったブドウを使って造られたワインです。

シャーベット状のブドウをプレス機で絞ると、糖分や他の成分が凍っていない液体の部分に濃縮されるので、非常に糖度の高い果汁を得ることができます。

貴腐ワインと同様に甘さの強いワインです。

カビ菌を使っていないことから味わいに関してはピュアな果実味と甘味を感じるはずです。

寒波が来るまで収穫しないこともあり、生産量は通常収穫した場合の10分の1から6分の1程度にしかならず、非常に高価なワインです。

干しブドウワイン

アマローネ用の干しブドウ

アマローネ用の干しブドウ

干しブドウワインは、収穫したブドウを人為的に乾燥させて果汁の濃度や糖度を上げるという方法を取ります。

収穫したブドウをスノコや藁の上に並べたり天井からぶら下げたりして数ヶ月間、日陰で干します。

ある程度水分が蒸発したところで果汁を絞ってワインを造っていくことになります。

干しブドウワインにはレーズンの風味が強く出ますが、貴腐ワインのような複雑性がないという特徴があります。

遅摘みワイン

遅摘みワインのブドウ

遅摘みワインのブドウ

遅摘みワインというのは、時季を遅らせて収穫したブドウを使って造るワインのことです。

ブドウは熟すにつれて糖度が上がっていきます。そのため、通常のタイミングよりも摘み取りを遅らせるだけでも、糖度の高いブドウを収穫できるのです。

通常よりも遅い時期に摘んだ糖度の高いブドウを使って造るのがこのワインです。

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まとめ

以上、デザートワインについてご説明しました。

甘味の強いデザートワインを造るのには、昔から培ってきたノウハウと技術、それから高額の原価がかかるということが分かりましたね。

デザートワインを飲んだことがないという方は、これを機に一度試してみてはいかがでしょうか。

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