ワインと栓には密接なかかわりがあります。
ですから、ワインについて知りたいという方は栓、とりわけコルク栓についても知っておくとよいでしょう。
コルク栓と言ってもあなどるなかれ、そこには多くの知識要素が含まれているのです。
そこで、ここではコルクの種類や豆知識、コルク以外の栓の種類についてご紹介します。
【目次】
では、順に説明します。
ワインに使われているコルク栓の種類とは
ワインに使われているコルク栓には次のような5種類があります。
<ワインに使われている5種類のコルク栓>
では、順に説明します。
天然コルク
天然コルクは、天然のコルクを加工せずにそのまま使っているものです。
具体的にどのように作られるのかと言うと、コルク樫という木を使い、木の周りから樹皮を厚くはがします。
あとは、その樹皮から円筒形にくり抜くだけです。
伐採はしないのでコルク樫が成長すれば再びコルク用の樹皮を採取できるようになりますが、それには10年ほどかかります。
生産量が限られてしまう分、天然コルクは人工のものよりも高価となっています。
テクニカルコルク(圧搾コルク)
天然コルクはコルク樫から採取してそのまま使うのに対して、テクニカルコルクはコルク樫を加工して使います。
コルク樫から採取した樹皮を砕いて小さくし、それを接着剤などで固めたコルクのことです。
天然コルクを作るためにくり抜いた後に、残りの部分を使用できるということもあり、天然コルクよりも安価という特徴があります。
一部天然一部圧搾コルク
これは天然コルクとテクニカルコルクの中間とも言えるコルクのことです。
端の部分は天然で、中心の部分はテクニカルコルクと同じように作られています。
中心部分はコルク屑を固めて作っているため、コスト削減を実現しています。
天然コルクよりも安価でありながら、天然コルクのように見えるというのが特徴です。
合成コルク(プラスチックコルク)
合成コルク(プラスチックコルク)は、シリコンなどの樹脂から作られるので樹脂製コルクと呼ばれることもあります。
見た目や色は様々ですが、コルクに似せて作られたものも数多くあります。
1990年代の合成コルクは酸素が多量に入ってしまうために、安価なワインに使われていました。
最近では酸素透過量を抑えたタイプの合成コルクも作られており、長期熟成ができる高級ワインにも適したコルクとなっています。
しかし、世間的に合成コルクは安価なワインに使われるコルクという認識があるため、高級ワインにはほとんど使われていません。
スパークリングワイン用のコルク
スパークリングワイン用のコルクは、上部が盛り上がったキノコのような形になっているコルクのことです。
炭酸ガスが抜けないように密度の非常に高いコルクとなっています。
コルクを抜く際にはソムリエナイフやスクリュープナーなどを使わないようにしてください。
と言いますのも、先ほどもお伝えしたようにスパークリングワインのコルクは高密度になっています。
そのため、スクリュー部分をコルクに刺すとワインの瓶に負担がかかり、最悪の場合には割れてしまいます。
コルクにまつわる豆知識
コルクの豆知識について「キャップシール」、「刻印」、「長さ」、「スクリューキャップとの比較」の4つの観点からご紹介します。
コルク栓のワインにはキャップシールがついている
コルク栓のワインにはキャップシールがついています。
これはコルクの乾燥防止などが目的となっています。
コルクが乾燥するとコルクの体積が小さくなり、酸素透過量が多くなっていまします。
そうなると、ワインが傷みやすくなります。
それを避けるためにキャップシールがついているというわけです。
ワインを開けるときには、キャップシールをはがしてからコルクにスクリューを刺していきます。
ワインの開け方について詳しくは「ソムリエナイフって?使い方5つのステップ」をご覧ください。
コルクに刻印のあるものがある
コルクを抜いて見てみると、何か文字が刻印されているといったこともあるのではないでしょうか。
この刻印は、そのワインが本物であることを証明するためのものです。
偽物ワインが出回った20世紀初頭、本物であることを証明するためにコルクにシャトー名やヴィンテージ(収穫年)が刻印されるようになりました。
特に高級ワインの場合には刻印がされていることがほとんどです。
ワインを飲んだ証として、刻印のされたコルクを集めてみてはいかがでしょうか。
コルクの長さは違うこともある
ワインをよく飲む方はコルクの長さが異なることに気がついた方もいるかもしれません。
コルクの長さは3cmほどのものから6cmほどのものなど、ワインによって異なります。
長いコルクほど酸素を通しにくくなり、密閉性が高まります。
長期熟成が必要になる高級ワインの場合は5.5cm以上のコルクが使われます。
と言いますのも、ワインは酸素に触れると熟成の進みが速くなるのですが、熟成のスピードを速めたものは、じっくりと熟成させたワインよりも味わいが劣ります。
そのため、じっくりと熟成させる必要があるというわけです。
そこで、長期熟成が必要な高級ワインほど長いコルクが必要になるのです。
コルク栓よりもスクリューキャップのほうがよい?
スクリューキャップとコルク栓を比較したときに、コルク栓のほうが高級そうで味わいもよさそうと感じる方も少なくないでしょう。
現にヨーロッパの伝統的なワインの産地では、スクリューキャップ=安物というイメージが強く、スクリューキャップはあまり普及していません。
しかし、コルク栓にはいくつかのデメリットがあります。
代表的なデメリットとしては、天然の材料を使って作っているので個体差があるということ。
酸素透過量の多いものは長期熟成後のワインの味わいにも悪い影響を及ぼします。
また、天然コルクの場合には全体の2~5%ほどの割合でブショネ(コルク臭)という品質不良が起こります。
こうしたデメリットをカバーできるのがスクリューキャップです。
工業製品のため、酸素透過量をコントロールできますし、ブショネも起こりません。
ですので、実はスクリューキャップのほうがワインの品質維持には適しているのです。
ワインの栓にはコルク以外にもある
ワインの栓には、コルク以外にもあります。ここにはコルク以外の栓を3つご紹介します。
<コルク以外の3つのワインの栓>
では、順に説明します。
スクリューキャップ
スクリューキャップというのは、ペットボトルのキャップのように回して開けるタイプの栓のことです。
2000年以降ニュージーランドやオーストラリアを中心として新世界のワイン業界で広く普及しています。
スクリューキャップは酸素を通さないといったイメージがあるかもしれませんが、工業製品であるために酸素透過量をコントロールすることもできます。
適切な量の酸素をワインに触れさせることができるので、高級ワインの栓としても適切なのです。
しかし、そのことを知らない消費者も多く、スクリューキャップ=安物というイメージがあることから、高級ワインにはあまり使われていないというのが現状です。
ガラス栓(ヴィノロック/ヴィンテグラ)
ガラス製の栓もあり、ヴィノロックやヴィンテグラと呼ばれています。
この栓はガラス製ということもあり、高級感のある印象を与えます。
開栓にはソムリエナイフなどは使わず、手で引き抜くだけです。
栓を閉めるときも上から押しこむだけといったように簡単に開閉できるのが特徴です。
瓶と接する部分には合成樹脂が使われているので、密封といった側面でも問題はありません。
価格は少し高いということもあり、高い価格帯のワインに使われています。
ゾーク栓
ゾーク栓は、プラスチックで作られており、開閉の仕方がガラス栓に似ていることから、合成コルクとガラス栓の中間とも言えます。
開け方としては、下部にあるディアハンドと呼ばれる部分をくるくると回して取り、栓を引き抜くだけです。
栓を閉めるときには、栓の真上にあるボタンをカチッと言うまで押してからワインの口に挿すだけです。
このゾーク栓は再利用が可能で、他のワインで飲み残したときにも使用できるという魅力があります。
開封後のワインの栓
スクリューキャップやガラス栓、ゾーク栓は、そのまま再栓できますが、コルクの場合は保存用のボトルキャップなどを利用するのがおすすめです。
コルクで再栓してもよいのですが、ソムリエナイフなどを使って穴があいてしまっていますよね。
その隙間から空気が入ってしまうと、ワインが傷みやすくなってしまいます。
ですので、可能であれば保存用のボトルキャップなどを使用しましょう。
カーボンフィルターによって酸化を食い止めるボトルキャップや、ボトル内の空気を吸い出して真空に近い状態にできるポンプと専用栓のセットなどが、3,000円以内で販売されています。
数百円のものもありますので、ワインをよく飲む方は1つ買ってみてはいかがでしょうか。
ワインの保存をするときに注意すべき点は栓以外にもあります。
保存方法について詳しく知りたい方はこちらの「未開封のワインや飲み切らなかったワインの保存方法とは?」をご覧ください。
まとめ
ここではコルクの種類や豆知識、コルク以外の栓の種類についてご紹介しました。
コルクについても知っておくと、スクリューキャップのワインも選択肢に加えたり、コルクを集めてみたりといったようにワインの楽しみが増えるでしょう。
周りの方がワインをより楽しむことができるように、ワインを飲む場などで、ここで覚えた知識を披露してみてはいかがでしょうか。
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