世界中のワインを知り尽くすソムリエ藤巻 暁氏は、もちろんシャンパーニュの見識も深い。そして当然、セラーには珠玉のシャンパーニュがゴロゴロ。浮かれ気分のこの季節、セラーで発掘したレア&ユニークなボトルをご紹介。
文・写真/谷 宏美
【目次】
1. 熟成シャンパーニュの魅力
2. レアなアニヴァーサリーボトル
3. コトー・シャンプノワの楽しみ
1. 熟成シャンパーニュの魅力
藤巻暁氏の古酒好きは本連載でも既出だが、シャンパーニュもやはり熟成したものがお好み。熟成して泡も控えめになったシャンパーニュを白ワインのように飲むのが好きとおっしゃる。「古いシャンパーニュの佇まいと味わいにびっくりして、白じゃなくてこれでいいんじゃないかと思ったんですよね、同じ古酒ならシャンパーニュのほうが当時断然安かったし」。
確かに泡がある分、熟成に耐えうるし、シャンパーニュの価格は高いものでも、スティルのグランヴァンやレアな造り手に比べれば知れている。「今どきのスペシャルなキュヴェとか、超長期熟成とかでなくていい。スタンダード・キュヴェでも熟成させたものは十分おいしいし価値がある」。そこで、リリースしたばかりのものを自家熟成させたり、ワインの収集をはじめたころに当時のミレジメを国内外で探し、ストックしている。
「個人的にはドサージュ量が多い方が、熟成したときに楽しいと思う」。今は小規模生産者やレコルタンも含め相当数のメゾンが日本でも入手できるが、昔はシャンパーニュといえば基本的に大手の老舗であった。今では珍しくなくなったドサージュゼロが一般的になったのもここ近年の話。「そうしたものがどれくらいポテンシャルがあるのかはこれから見極めたいですね」。
造り手でいうとジャック・セロスの独自性をこよなく愛していて、もちろん多々おもちなのだが、ここではスティルワイン同様に収集しているちょっと珍しいアイテムを紹介したい。こんなのあるんだ〜 と眺めて楽しんでいただきたい。